「よいしょ、よいしょ……。 ふふふ、似てる似てる。
ふふふ、私って雪だるまの天才かもしれないわ」  
フランドールは寒さで鼻と頬を真っ赤にさせながら、 完成した美鈴の雪だるまの前で腕を組んだ。 紅魔館の門壁にはディフォルメされたレミリア、咲夜、美鈴の雪だるまが並んでいる。
「ふーっ、あとは誰かしら。 みんな作ってあげないと。
仲間外れはさみしいから。うーん……」  
パチュリー、小悪魔、メイド妖精たちも作ってあげてもいいかもしれない……フランは唸った。   「あと誰か忘れてるような気がするのよね……
誰だっけ……。ま、作ってれば思い出すでしょ」
紅魔館全員分が完成するまでは休まない。掲げた目標と熱心さが作用し、雪だるまはすぐに完成した。  
「あら、雪だるまを作ったのね。 へぇ~、結構上手いじゃない」  
「……お姉様っ!」   レミリアがどこからか現れ、感心したようにフランが作った雪だるまたちを眺め始める。
「うーん、どれも素晴らしい出来だけど、致命的に 足りないものがあるわよ、直す必要があるわ」  
レミリアの言葉にフランはがっかりした。  
「フラン、手伝ってくれる? もう一体 どうしても私の雪だるまの隣に作りたいのよ」
「作りたいならお姉様だけで作れば良いじゃない」  
「あなたの方が作るの上手いじゃない?」  
レミリアがせっせと雪を集め始めたので、フランドールも渋々ながら手伝うことにした。   「でもお姉様、誰を作るの?
もう紅魔館のみんなの雪だるまは全部作ったのに」
「何言ってるのよフラン。 あなたの雪だるまが、ないでしょ?」  
「……あっ」  
「私の妹なんだから、私の側にないのは困るわ。 紅魔館には、スカーレット姉妹がいるのよ」  
当たり前のように言ったレミリアから、フランドールは恥ずかしくなってそっと目を逸らすのだった。