人里に来た舞と里乃を出迎えたのは、額の汗を拭う魔理沙だった。 多くの人間たちが集まっている状況に首を傾げているふたりに対し、彼女は餅つき大会であると語る。 どうやら制限時間内に一番多くの餅をついた者が優勝とのことで、賞品は餅一年分とのこと。  
「ふふん。そんなの、私と舞にかかれば楽勝よ!
というわけで、私は舞と組むわね」   二人は相棒、息を合わせることには自信があるとさっそく餅つきを始める二人だったが……。
「ちょっと舞、もう少しゆっくりついてよ!
速すぎてお餅が返せないじゃん!」   「そんなこと言ったって、難しいんだよ! 里乃がもっと素早く返せばいいでしょ!」  
予想と違い、悪戦苦闘するふたり。どうやら餅つきとは思っていた以上に大変な作業であるようだ。
「そうだ! ねぇ、里乃。 ちょっと僕の後ろで踊っててよ」  
「あ、そっか! その手があったわね!
よ~し、私に任せておいて!」  
里乃は舞の相棒を近くにいた魔理沙に任せ、可憐な踊りを披露し始める。 すると、途端につき手と合いの手の息が合い、見る見るうちに餅が理想的な柔らかさを獲得していく。
「私が踊って舞たちの精神力を引き出せば、
餅つき程度の連携ぐらいどうってことないわ!」  
他の参加者たちにとってみれば少しズルをしているような気もするが……そこは幻想郷。 異議を唱える者は現れず、彼女たちは無事大会で優勝を果たし、賞品もしっかり手中に収めた。
「やった~!! 優勝だ! さすがだね、里乃!」  
「私たち二人が協力したんだもの。
これくらい当然よ」  
帰り道、ふたりは貰った焼き餅を食べながら、来年も参加しようと密かに心の中で企むのだった。