「だー! また負けー!? 何で勝てないのよ!?
魔理沙、あんたズルしてない!?」   「おいおい、言いがかりはやめてくれ…… それにしてもお前、わざと避けているだろう?」  
雪が残る博麗神社の境内で、正月らしく羽つきをして楽しむ霊夢と魔理沙。 霊夢の顔には既にバツが描かれており、魔理沙はそれを見て余裕ともとれる笑みを浮かべる。
「ったく……それで何度目の空振りだ? 数多あまた 妖怪から恐れられる博麗の巫女がなんて情けない。 意図的に外してるようにしか見えないぞ」  
「あー? しょうがないでしょ! 自分の方に
くるものはつい避けちゃうのよ、クセで!!」  
悔しそうな表情で地面に落ちていた羽つきの黒い玉をつまみ上げながら、霊夢は魔理沙を睨みつける。
「おうおう怖い怖い。そんな顔で睨まれても 羽は勝手に跳ね返ってはくれないぜ?」  
「わ、わかってるわ!
もう一回勝負よ、魔理沙!!」
「臨むところだ! ……と言いたいところだが、 それよりもまずはやることがあるだろう?」  
ニヤリと笑う魔理沙に、霊夢は言葉を詰まらせる。 羽つきの勝者である魔理沙は、哀れな敗者の顔にラクガキをできる特権を行使すべく相手を手招く。 霊夢は大きな溜め息を吐き、悔しそうに渋々と筆を持つ魔理沙の前に立った。  
「次はこっちの頬に描いてやろう。 くくく。このままだと顔が 墨だらけになるんじゃあないか~?」
「調子に乗るのもそこまでよ。次こそ絶対に
アンタの顔を墨で汚してあげるんだから……!」  
ご機嫌な様子で霊夢の顔にバツを描く魔理沙を見つめる霊夢の瞳には、復讐の炎が燃えていた――。