「ふわふわ~。ふわふわ~。
今日もなんだか心地がいいー……
ん? あっちからいい匂いがするー」
今日も今日とて、これといった目的もなく自由気ままに漂う妖怪、ルーミア。
博麗神社の近くをふらふらと飛び回っていた彼女は何やら甘ったるい香りを感じる。
そこでは博麗霊夢が何やら美味しそうなお菓子を持っていた。
「こっちよ、こっち。ちょっとあんた
降りてきなさい。いい物あげるから」
普段は財布の紐が固い霊夢。何を企んでいるのだろうか。
とはいえ、ルーミアにしてみれば霊夢の意図などどうでも良く、甘いお菓子の香りに釣られただけ。
ただ一時の気まぐれに過ぎない。しかして霊夢の元へとやってきたルーミアはどういう訳か、
着替えをさせられる羽目になったのであった。どうやら霊夢のお古らしい。
「ねえねえ、一体これは何をしてるんだ?
私を人形の役にして、お人形遊びしてるのかー?」
「んー……ただの気まぐれよ、気まぐれ。
捨てるのも勿体なかったし。これでよしっと」
ルーミアを着付けた霊夢は、やり遂げたような表情でにこりと笑ってみせる。
「おー。終わった?
この服なんだか美味しそうな匂いがするー。
霊夢は服も美味しいの?」
「違うわよ。お古なんだから
においがするのは当然でしょ。
なんでも食欲に繋げようとするんじゃないの」
「それよりこのお菓子、美味しいー。
おかわりはないのー?
お茶もくれると嬉しいんだけどー」
「やれやれ……どんな時でも変わらないわね。
すぐに準備してきてあげるから待ってなさい」
「お菓子もお茶も、この服も美味しくて、
なんだかとってもいい気持ちー。
うん、今日もいい日だなー」