「ふふふ、任せてくれよ。 宝塔を捜してくるなんて私にとっては朝飯前さ」  
「いつも任せてしまい申し訳ありません。
頼みましたよ、ナズーリン」
敬愛する聖白蓮のために宝塔を捜索するだが、多忙な彼女にとってそれは困難を極めていた。 そこで、物捜しに適任であるナズーリンの登場だ。  
「本当に見つかるでしょうか……。
聖のために必要な、大切な宝塔ですよ?」
「やれやれ、心配性だねご主人様は。 いや、聖のためとなればそれも当然なのかな? とにかく私に任せておけば安心さ。大船に乗った つもりで待っていてくれればいいからさ」  
不安げな表情を浮かべる星を落ち着かせるよう、努つとめて優しく語るナズーリン。 一応、星の部下という扱いであるナズーリンだが、複雑な事情があったりして、その立場は対等。 こうしてたまには気心の知れた友人のようなやり取りをすることもあったり無かったり。
「分かっていますよ、ナズーリン。
貴方のことは信頼していますから」   「な……なんだい。急に面と向かって…… そういうことを言うのはやめてくれないか?」  
「どうしてですか? 私は率直な事実を
言ったまでですが……気に障りましたか?」
「ち、違うって。そういう意味じゃなくて…… あーもう! それじゃ、私は行くよ!」  
赤面し、その場から逃げるように去って行くナズーリン。星はその様子に首を傾げる。   「一体、何が問題だったのでしょうか……?  
端から見ればすっとぼけているような言葉を漏らす星だが、彼女は至って真面目。 もっともそんな性格だからこそ、ナズーリンと上手くやれているのかもしれない。