「さて――今日こそは白黒つけようか、聖白蓮。 結果の見えた議論も、いい加減飽きてきた」  
「これは奇妙なことを。あなたが信奉する
邪教など、とうの昔に廃れていますよ」   「それは外の世界での話だろう。 幻想郷での趨勢はいまだ決していない。 なんであれば、今この場でやりあってもいいが?」
挑発的に笑う豊聡耳神子。涼しい顔で受け流し、穏やかにほほ笑む聖白蓮。 仇敵のふたりが交わす言葉は静かなれど、目に見えぬ幾十幾百の火花が二人の間で咲き乱れる。 しかし、仲が悪いように見えて、彼女たちの間には奇妙な絆も存在している。 時には封印した場所の上に寺を建ててみたり、時には山の神様を交えた対談で意気投合したり。 ある時には人間の里での宗教戦争で正面衝突したり、時には面霊気めんれいきの少女を温かく見守ったり。 果たして本当に仲が悪いのか、はたまた実はこっそり仲が良いのか……その真相は定かではない。   「すぐに暴力に訴えようとするなんて、
修行が足りていない証拠だわ。
邪教なんて早く捨てて、私に弟子入りなさい。
あなたの性根を私が叩き直してあげます」
「物騒なのはどちらかな。体罰同然の行いで人を 律しようとする者がよくもまあぬけぬけと。 やはり私が信ずる道教こそが真の宗教。 幻想郷には道教こそが必要なのだ!」  
犬猿の仲に見えるが、実は喧嘩するほど仲がいい。そういう評価が一番適切なのかもしれない。