「いっそのこと、
誰か異変でも起こしてくれないかねえ。
そうすれば暇じゃなくなるのにな」  
「博麗神社の巫女としては その意見に賛同するわけにはいかないわね」
「そうか。……ちなみに、
ただの博麗霊夢としてはどうなんだ?
この終わりなき退屈から解放されるとしたら、
多少の異変ぐらい目を瞑れるんじゃないか?」   「……馬鹿言わないで。私が巫女だろうが そうじゃなかろうが、異変なんて許可しないわよ」
「あはは。ちょっと迷ったな。この私の目は
ごまかせな……痛ぁ! あ、足を踏むな!」   「あんたがしつこく意味不明なことを言うからよ。 ちょっとは反省なさいな」  
取り付く島のない霊夢の態度に、ちぇっ、と魔理沙は口をとがらせる。 暇に屈しそうな霊夢でも、流石に巫女としての役目を捨てるつもりはないらしい。 晴れ渡った空を見上げ、「あ~」と情けない声を漏らす魔理沙。 そんな何気ない行動で頭が刺激されたのか、魔理沙は突然その場に立ち上がると……。
「そうだ。人里に行って
参拝客を捕まえてくるってのはどうだ?
人が無理なら、人里に隠れ潜んでる
妖怪でも連れてきて、賽銭でも献上させようぜ」   「ちょっと、いくら暇だからって 流石にそれは横暴なんじゃないの?」
「上手くいけば博麗神社のお財布事情も
少しは解決されるかもしれないぜ?」   「……確かに。ここ最近、まともな食事を していないし、妖怪退治が私の仕事だし、 その過程で妖怪から何かを巻き上げたって 問題ない、か……? 没収、というていなら……」  
数刻後、こてんぱんにやられた妖怪たちがお賽銭箱にお金を入れる姿が目撃されるのだった。