霊夢の思いつきから始まった祭も、どうにか開催へと漕ぎつけた。 店を出すのは人間だけではない。夜雀の八つ目ウナギに、氷精の味のしないかき氷。 魔法使いの人形劇や面霊気の舞など、出店以外の出し物も披露されている。 人も妖怪も非日常感に昂揚し、分け隔てなく祭の熱狂に興じていた。  
「どうなることかと思ったけど、 なかなかの盛況じゃないか、霊夢」   「いろんな人が宣伝してくれたみたいです~!」  
日頃、異変解決や妖怪退治に奔走する霊夢は、本人が思う以上に顔が広いのだろう。
「ん? なんだかやけに騒がしいわね。
……って誰よ! 弾幕勝負なんてしてるのは!」  
神社の空に咲き乱れる弾幕の華に、境内に詰めかけた者たちから歓声が上がる。  
「お祭りの余興と思われてるみたいですねえ」   「ははっ、こりゃいい。 酒を飲みながら花火見物ってのも、おつなもんだ」
「……まあ、いいか。お酒も美味しく飲めるしね。
 いよいよとなったら止めるけど。 今はひとまず、お祭りの準備お疲れ様ってことで」  
あうんの酌で、酒杯を傾ける霊夢と魔理沙。 霊夢がユメミタマで見た“楽しそうなお祭り”とはだいぶ様相が違うだろう。 けれど、もとより口実などなんでもいい。人が集まって楽しんでいる。それで充分。 歓声の中、祭は続く――