(うぅ~、激しく不安だわ……でもレミリア様に
報告する訳にもいかないし……どうしよう)
うきうきでステージの準備を進めるフランドールと女苑を横目に、
美鈴はひとりため息をこぼす。
「ねえ、美鈴ってば!
サボってないで手伝ってよ~!
はい、この箱運んで! 落としちゃダメだよ」
「は、はい……ん? なんですかこれ?
中からカタカタ音がしますけど……一体……」
「細かいこと気にしない、気にしない!
美鈴は私の従者なんだから、
黙って動けばいいの!」
……自分はフランの従者ではないのだが。と心の中でツッコミを入れるが、反論することも出来ない。
美鈴は命令されるがままに、謎の箱をステージに向かって運んでいく。
「ふっふっふ……アレが動き出せば、ナマイキな
お姉様もイチコロなんだから! えへへへ♪」
レミリアに対する悪戯いたずらを考えているフランドールは、それはそれは幸せそうに笑ってみせる。
罵倒こそしているものの、やはり唯一無二の家族。彼女の反応が楽しみで仕方ないようだ。
「分かる……分かるわよその気持ち♪
姉妹喧嘩っていうのは、こうでなくちゃ。
全力勝負よ!」
「全力勝負……! 心地よい響きね! お姉様……
アイツとは一度、全力で戦ってみたかったの!」
フランドールは深く考えずそんなことを口にしたが、遠くから聞いていた美鈴は内心気が気でない。
もし仮にレミリアとフランドールが本気で戦ったとしたら、一体誰が止めるのだろうか?
下手をすれば幻想郷中を巻き込む一大決戦を想像して、美鈴は思わず天を仰いでしまう。
まあ、なんやかんやでそんなことにはならないだろう。そういう時は、咲夜がなんとかするはずだ。
「さあさあ、見ていなさいよ、お姉様♪
妹の愛情たっぷりチョコを喰らっちゃえっ♪」