「外道? 浅ましい?
……アハハハ! 私にとっては褒め言葉だわ!」
最凶最悪の貧乏神である紫苑の妹――疫病神の依神女苑は、
崩れ落ちる人々の前で高笑いを響かせる。
彼女によって散財させられた者たちは怨嗟えんさの声を上げるが、女苑はどこ吹く風だ。
女苑は異変を起こした後、質素でも心豊かな生活を送りたいという心境の変化を自覚した。
克己的こっきてきな生き方への関心、住職・聖白蓮という存在の“俗っぽさ”、そこに抱いた親近感。
そんな思いから自主的に命蓮寺での修行を選んだが……長くは続かず、結局は逃げ出している。
「あー、もう!
こんなしみったれた生活、懲り懲り!
やっぱり派手にお金を使わないとダメよね~!
ほーらほら♪」
いくら修行をしたところで、人里の人間に紛れ込んでは富を浪費する、という本質は変わらない。
しかし、変わったこともある。女苑は、裕福な者にのみ憑りつくようになったのだ。
精神面での多少の成長、それは――修行の賜物たまものなのかもしれない。
「げっ! 白蓮!?
もう修行なんて嫌なんだから~!」
悪事がバレるたび、白蓮に引っ張られて命蓮寺に連れ戻される女苑。
その光景は、一種の風物詩となっているようだ。
「過去の自分を捨てるんだ!
もう他人の財で着飾る生活を捨てて、
心の豊かな人生を送りたい!」
命蓮寺に戻ると気持ちを入れ替えて、気合いを入れて修行のやり直しをする女苑。
その姿勢に白蓮たちは感心しているが……同時に、長続きするかどうかを不安視もしている。