// BOM card_100_238_00,2,49 START, SET_CARD_BG_IN,100238, SET_BGM,7, MAIN_UI_OFF,1, FADE_IN,500,0, WAIT_SEC,1000, SET_CARD_TEXT,1,1, 依神紫苑。貧乏神である彼女にとって、日常とは不幸と隣り合わせなものだった。 card_100_238_00_1 SET_CARD_TEXT,1,1, 道を歩けば小石に躓き、裏道を通れば野良犬に追い掛け回され、森に入れば道に迷う。 card_100_238_00_2 SET_CARD_TEXT,1,1, 貧乏神としての日常こそが、彼女にとっての普通だった――だが、その日だけは、違った。 card_100_238_00_3 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_238_00_4 SET_CARD_TEXT,1,1, 「えへへ。こんなにたくさん、 card_100_238_00_5 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_238_00_6 SET_CARD_TEXT,1,1, チョコレートをもらっちゃった……」 card_100_238_00_7 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_238_00_8 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_238_00_9 SET_CARD_TEXT,1,1, 路地裏の筵の上に広げたいっぱいのチョコレート。多種多様な包装紙に包まれた、幸せの象徴。 card_100_238_00_10 SET_CARD_TEXT,1,1, 誰にもとられないようにチョコと自分をぼろぼろの毛布で包みながら、紫苑はその一つを持ち上げる。 card_100_238_00_11 SET_CARD_TEXT,1,1, 大好きな親友、天界の問題児からもらったチョコを前に、紫苑は表情を緩ませる。 card_100_238_00_12 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_238_00_13 SET_CARD_TEXT,1,1, 「美味しそう……きっとすごく甘いんだろうなあ。 card_100_238_00_14 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_238_00_15 SET_CARD_TEXT,1,1, ああ、今日は本当にいい日だなあ」 card_100_238_00_16 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_238_00_17 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_238_00_18 SET_CARD_TEXT,1,1, たくさんの人からチョコを貰い、作ったチョコを渡し感謝される。 card_100_238_00_19 SET_CARD_TEXT,1,1, こんな幸せな日は随分と珍しい……いや、あるいは彼女にとっては初めての経験かもしれない。 card_100_238_00_20 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_238_00_21 SET_CARD_TEXT,1,1, 「毎日一個ずつ食べていこう。 card_100_238_00_22 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_238_00_23 SET_CARD_TEXT,1,1, すぐに食べちゃったらもったいないもの」 card_100_238_00_24 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_238_00_25 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_238_00_26 SET_CARD_TEXT,1,1, 手に持っていたチョコの包装を開封し、その中身を外界に露わにする。 card_100_238_00_27 SET_CARD_TEXT,1,1, 天界の桃をドライフルーツにして混ぜ込んだ、世界で二つとない特別なチョコレートだ。 card_100_238_00_28 SET_CARD_TEXT,1,1, 紫苑は躊躇ためらうことなくチョコを齧かじる。すると、彼女の心を幸福が満たしてくれた。 card_100_238_00_29 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_238_00_30 SET_CARD_TEXT,1,1, 「美味しい……っ! card_100_238_00_31 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_238_00_32 SET_CARD_TEXT,1,1, ああっ、私、こんなに幸せでいいのかな……!」 card_100_238_00_33 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_238_00_34 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_238_00_35 SET_CARD_TEXT,1,1, 明日か、それとも次の瞬間か。すぐにこの幸福は不幸に変わってしまうかもしれない。 card_100_238_00_36 SET_CARD_TEXT,1,1, それでも、その日、紫苑は一時不幸を忘れ、幸せに満ちた笑顔を浮かべた。 card_100_238_00_37 WAIT_TOUCH, SKIP_POS, FADE_OUT,500, STOP_BGM, WAIT_SEC,2000, END,