// BOM card_100_256_01,2,50 START, SET_CARD_BG_IN,100256,0, SET_BGM,7, MAIN_UI_OFF,1, FADE_IN,500,0, WAIT_SEC,1000, SET_CARD_TEXT,1,1, 「――驚いたのは、ここからだ。なんと、 card_100_256_01_1 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_256_01_2 SET_CARD_TEXT,1,1, 人間の里では能楽が流行り出していたんだよ」 card_100_256_01_3 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_256_01_4 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_256_01_5 SET_CARD_TEXT,1,1, 縁側にやってきた、マヨヒガに住みつく猫を撫でながら、藍は土産話をつらつらと並べる。 card_100_256_01_6 SET_CARD_TEXT,1,1, しかし、彼女の口はそこで止まることとなる。理由は簡単。橙がすやすやと寝息を立てていたからだ。 card_100_256_01_7 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_256_01_8 SET_CARD_TEXT,1,1, 「やはり、寝てしまったか。 card_100_256_01_9 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_256_01_10 SET_CARD_TEXT,1,1, 少し長話が過ぎたかな? card_100_256_01_11 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_256_01_12 SET_CARD_TEXT,1,1, ……いいや、それだけじゃない、か」 card_100_256_01_13 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_256_01_14 SET_CARD_TEXT,1,1, 藍の膝の上ですっかり寝入ってしまった橙に微笑んだ後、藍はゆっくりと視線を空のほうへとやる。 card_100_256_01_15 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_256_01_16 SET_CARD_TEXT,1,1, 「こんなにも心地いい card_100_256_01_17 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_256_01_18 SET_CARD_TEXT,1,1, 春の陽気に包まれているんだ。 card_100_256_01_19 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_256_01_20 SET_CARD_TEXT,1,1, むしろ寝ないほうがおかしいだろう」 card_100_256_01_21 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_256_01_22 SET_CARD_TEXT,1,1, 縁側の猫たちも、静かな寝息とともにお腹を上下させている。 card_100_256_01_23 SET_CARD_TEXT,1,1, 頬を撫でる春風が心地いい。眠気を誘発するにはうってつけだ。 card_100_256_01_24 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_256_01_25 SET_CARD_TEXT,1,1, 「綺麗な桜に、縁側で眠る猫と式神、か…… card_100_256_01_26 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_256_01_27 SET_CARD_TEXT,1,1, まさに春の風物詩とはこのことだな」 card_100_256_01_28 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_256_01_29 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_256_01_30 SET_CARD_TEXT,1,1, 春夏秋冬、四季は巡る。式神である橙との思い出は、その度に重なり、厚みを増していく。 card_100_256_01_31 SET_CARD_TEXT,1,1, 化け猫としてもまだ幼い橙は、これから多くの体験をしていくのだろう。 card_100_256_01_32 SET_CARD_TEXT,1,1, もしかしたら、こういうささいな思い出を忘れていってしまうかもしれない。 card_100_256_01_33 SET_CARD_TEXT,1,1, ――ならば、自分が覚えていよう。橙が忘れたとしても、主である自分こそが。 card_100_256_01_34 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_256_01_35 SET_CARD_TEXT,1,1, 「……来年の桜も、きっと綺麗だよ。橙」 card_100_256_01_36 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_256_01_37 SET_CARD_TEXT,1,1, 返事は寝息だけ。しかし、それで構わない、と藍は微笑んだ。 card_100_256_01_38 WAIT_TOUCH, SKIP_POS, FADE_OUT,500, STOP_BGM, WAIT_SEC,2000, END,