今は昔、幻想郷の妖怪たちから屈辱を与えられた『小人』と、
弱者を救うために手を差し伸べた『心優しき妖怪』の美しき友情の物語があった。
「あなたの話が本当ならば、
私は一族のためにも立ち上がらなくちゃならない。
小さな小さなこの身だけれど、
それでも復讐を遂げられるなら、本望だ」
かつて虐げられていた小人の種族、その末裔である少名針妙丸。
彼女は自身の種族に刻まれた忌まわしい過去を知らずに、平和な世をのうのうと生きてきた。
だが、知ってしまった。知らされてしまった。幻想郷の反逆者によって、すべてを教えられた。
「その意気ですよ、姫。ああ、ああ、
なんと素晴らしい怒りなのでしょう。
私と一緒に、この幻想郷を
ひっくり返してやろうじゃありませんか!」
すべてに背を向ける者、自分自身にすら正直になれないひねくれ者。天邪鬼の、鬼人正邪。
彼女は自分の使命を成し遂げるべく、最強の宝物を持つ針妙丸に目を付けた。
それは、小人族に代々伝わる、どんな願いでも叶えてくれる打ち出の小づち。
これさえあれば、どんなに敵が大きかろうが関係ない。軽く振るだけで、勝負はつくのだ。
「勇気ある針妙丸。
あんたと打ち出の小づちさえあれば、
怖いものなど何もない。
すべてをひっくり返すことができる……
私たちの理想の未来は、すでに手中にある!」