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クラウンピースとの待ち合わせ時間よりも早く、目的地に到着したヘカーティア。
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彼女は可愛い配下を待つことなく、目的地である香霖堂へと足を踏み入れる。
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「へぇー! これが外の世界の最新の
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ファッションなのね! イケてるじゃない!」
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彼女の目に飛び込んできたのは、幻想郷の外から流れ着いたファッション雑誌の数々。
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それらは、いつの時代のものかもわからない雑誌なのだが、そんなことは彼女の知ったことではない。
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ついには分身まで出現させ、片っ端から立ち読みを始めてしまう。
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「美的センスって物を身につけてやろうじゃない。
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もう変なTシャツヤローだなんて言わせないわ」
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雑誌を片手に、ヘカーティアは近くにあった服を組み合わせていく。
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流行とは、センスとは、誰にも真似できない自分だけの世界観を追求することが大事、などなど……。
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奥深いファッションの世界に、ヘカーティアはすっかりのめりこんでしまっていた。
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「ふぅむ、なるほどなるほど……
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奇抜すぎても駄目なのね。大切なのは親和性、か。
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……そうは言っても、
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やっぱりこのTシャツは外せないわ。
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これを活かす方法とかないのかしら?」
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そこでふと、彼女は正気に返った。たかが人間が作った流行なんかに流されていいのか、と。
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そう、自分は神なのだ。人間風情に惑わされていいはずがないと、ヘカーティアは開き直る。
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「やっぱり私は、
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自分の好きな服を着ることにしましょう!
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そうと決まれば、さっそく買い物よん♪」
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ヘカーティアは雑誌を棚に戻すと、目についた衣服を手当たり次第に籠に入れていく。
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彼女のファッションセンスに時代が追いつける日は、まだまだ先のことだ。
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