// BOM card_100_266_00,2,64 START, SET_CARD_BG_IN,100266, SET_BGM,7, MAIN_UI_OFF,1, FADE_IN,500,0, WAIT_SEC,1000, SET_CARD_TEXT,1,1, 命蓮寺へと続く階段を一段、また一段と上がっていく、紫色の大きな傘。 card_100_266_00_1 SET_CARD_TEXT,1,1, 近くを通り過ぎる人間は、こんな大きなものを card_100_266_00_2 SET_CARD_TEXT,1,1, いったい誰がさしているのかと、不思議そうにのぞき込んだ。 card_100_266_00_3 SET_CARD_TEXT,1,1, 　 card_100_266_00_4 SET_CARD_TEXT,1,1, 「こちらをずっと見て……どうしたの？ card_100_266_00_5 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_266_00_6 SET_CARD_TEXT,1,1, もしかして……私の顔が、気になるの？」 card_100_266_00_7 SET_CARD_TEXT,1,1, 　 card_100_266_00_8 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_266_00_9 SET_CARD_TEXT,1,1, 持ち主の足が止まり、ぐるりと人間のほうを向いた。 card_100_266_00_10 SET_CARD_TEXT,1,1, 傘の表面には、ぎょろっとしたひとつ目、大きな口から垂れ下がった、真っ赤な舌。 card_100_266_00_11 SET_CARD_TEXT,1,1, 紫色の傘は、妖怪傘だった。 card_100_266_00_12 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_266_00_13 SET_CARD_TEXT,1,1, 「ふふふ。ふふふふふ。 card_100_266_00_14 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_266_00_15 SET_CARD_TEXT,1,1, いいわ、見せてあげる。私の顔を」 card_100_266_00_16 SET_CARD_TEXT,1,1, 　 card_100_266_00_17 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_266_00_18 SET_CARD_TEXT,1,1, 妖怪傘に見つめられ身動きできない人間は、身構えた。 card_100_266_00_19 SET_CARD_TEXT,1,1, 傘の影に隠れているのは、見てはならないこの世ならざる者なのではないか、と。 card_100_266_00_20 SET_CARD_TEXT,1,1, 　 card_100_266_00_21 SET_CARD_TEXT,1,1, 「ひゅ～……どろどろどろ～…… card_100_266_00_22 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_266_00_23 SET_CARD_TEXT,1,1, うーらーめーしーやー！」 card_100_266_00_24 SET_CARD_TEXT,1,1, 　 card_100_266_00_25 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_266_00_26 SET_CARD_TEXT,1,1, だが、傘の下から顔を見せたのは、醜い化け物――などではなく、可憐な少女だった。 card_100_266_00_27 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_266_00_28 SET_CARD_TEXT,1,1, 「人間かと思ったら、 card_100_266_00_29 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_266_00_30 SET_CARD_TEXT,1,1, 実は泣く子も黙る唐笠お化けでした！ card_100_266_00_31 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_266_00_32 SET_CARD_TEXT,1,1, どう？　どう？　びっくりした？」 card_100_266_00_33 SET_CARD_TEXT,1,1, 　 card_100_266_00_34 SET_CARD_TEXT,1,1, そう言って、悪戯っぽく笑う少女。 card_100_266_00_35 SET_CARD_TEXT,1,1, 人間は一瞬だけ驚くものの、胸をなでおろし、そしてすぐに微笑んだ。 card_100_266_00_36 SET_CARD_TEXT,1,1, 絶望し、大きな声をあげたのは、少女のほうだった。 card_100_266_00_37 SET_CARD_TEXT,1,1, 　 card_100_266_00_38 SET_CARD_TEXT,1,1, 「こ、こんなはずじゃなかったのにー！」 card_100_266_00_39 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_266_00_40 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_266_00_41 SET_CARD_TEXT,1,1, 慌てて階段を駆け下り、近くの草むらに飛び込む小傘。 card_100_266_00_42 SET_CARD_TEXT,1,1, 　 card_100_266_00_43 SET_CARD_TEXT,1,1, 「うぅ……また失敗しちゃった。 card_100_266_00_44 SET_CARD_TEXT,1,1, みんなに一緒に考えてもらった、 card_100_266_00_45 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_266_00_46 SET_CARD_TEXT,1,1, 渾身こんしんの作戦だったのに！ card_100_266_00_47 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_266_00_48 SET_CARD_TEXT,1,1, どうしてみんな、私に驚いてくれないの～！？」 card_100_266_00_49 SET_CARD_TEXT,1,1, 　 card_100_266_00_50 SET_CARD_TEXT,1,1, 不条理な世の中に涙しつつも、彼女はひとり反省会を開始する。 card_100_266_00_51 SET_CARD_TEXT,1,1, 次こそは、やって来た人間を驚かしてやる、と心に誓いながら――。 card_100_266_00_52 WAIT_TOUCH, SKIP_POS, FADE_OUT,500, STOP_BGM, WAIT_SEC,2000, END,