// BOM
card_100_267_00,2,73
START,
SET_CARD_BG_IN,100267,
SET_BGM,7,
MAIN_UI_OFF,1,
FADE_IN,500,0,
WAIT_SEC,1000,
SET_CARD_TEXT,1,1,
無口だとよく言われる。
card_100_267_00_1
SET_CARD_TEXT,1,1,
そんな彼女――稀神サグメは、理由があってしゃべらないようにしていた。
card_100_267_00_2
SET_CARD_TEXT,1,1,
『口に出すと事態を逆転させる程度の能力』。
card_100_267_00_3
SET_CARD_TEXT,1,1,
口にした言葉によって、すべての事象を逆に進めてしまう恐ろしい能力。
card_100_267_00_4
SET_CARD_TEXT,1,1,
考えていることと逆のことをやろうとする天邪鬼と違い、
card_100_267_00_5
SET_CARD_TEXT,1,1,
彼女は口にした言葉によって世界を逆に動かすことができてしまう。
card_100_267_00_6
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_7
SET_CARD_TEXT,1,1,
(私は何も口にしてはいけない……
card_100_267_00_8
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_9
SET_CARD_TEXT,1,1,
みんなのためにも、ずっと黙っていよう……)
card_100_267_00_10
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_11
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_12
SET_CARD_TEXT,1,1,
楽しそうにしているみんなを遠目から見つめて、口を開こうとしては、すぐに閉じることを繰り返す。
card_100_267_00_13
SET_CARD_TEXT,1,1,
尊敬する永琳たちが暮らす幻想郷。
card_100_267_00_14
SET_CARD_TEXT,1,1,
その魅力を知るために、彼女は何度も足を運んでは、のんびりとした時間を過ごしている。
card_100_267_00_15
SET_CARD_TEXT,1,1,
賢者として月の都を守っていたときとはまったく異なる、平和な時間。
card_100_267_00_16
SET_CARD_TEXT,1,1,
何事も起こらない日常の中で、サグメはかつての部下である鈴瑚や清蘭が営む団子屋を訪れていた。
card_100_267_00_17
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_18
SET_CARD_TEXT,1,1,
「……元気そうで何より。とても美味しそうな
card_100_267_00_19
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_20
SET_CARD_TEXT,1,1,
お団子ですね、ひとついただけるかしら?」
card_100_267_00_21
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_22
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_23
SET_CARD_TEXT,1,1,
サグメに悪気はなく、ともに月の都を守った仲間の商売を応援したいと考えていたのだが……。
card_100_267_00_24
SET_CARD_TEXT,1,1,
――不覚にも、彼女の能力がここで発動してしまう。
card_100_267_00_25
SET_CARD_TEXT,1,1,
先ほどまで元気に団子の販売をしていた2人の様子が急変。腹痛を訴え始めた。
card_100_267_00_26
SET_CARD_TEXT,1,1,
それだけでなく、なんと団子の味も落ちてしまっているらしい。
card_100_267_00_27
SET_CARD_TEXT,1,1,
鈴瑚と清蘭は、突然の事態に慌てて店じまい。薬をもらうべく、永遠亭へと駆けていく。
card_100_267_00_28
SET_CARD_TEXT,1,1,
一方、団子を買ってご満悦のサグメは、人間の里の一角でしばし休憩していた。
card_100_267_00_29
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_30
SET_CARD_TEXT,1,1,
(うん、これは美味しい……
card_100_267_00_31
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_32
SET_CARD_TEXT,1,1,
さすがは鈴瑚と清蘭のお団子ね)
card_100_267_00_33
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_34
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_35
SET_CARD_TEXT,1,1,
団子を口いっぱいに含んで、もちもち感を楽しむサグメ。
card_100_267_00_36
SET_CARD_TEXT,1,1,
能力が発動する前に買った団子は、頬が落ちてしまいそうになるほどに絶品だった。
card_100_267_00_37
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_38
SET_CARD_TEXT,1,1,
(それはそれとして、
card_100_267_00_39
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_40
SET_CARD_TEXT,1,1,
さっきのはよくなかったわ……。
card_100_267_00_41
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_42
SET_CARD_TEXT,1,1,
きっと、二人にも
card_100_267_00_43
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_44
SET_CARD_TEXT,1,1,
迷惑をかけてしまったわよね……)
card_100_267_00_45
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_46
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_47
SET_CARD_TEXT,1,1,
彼女の能力は、ほんのささいなことで発動してしまう。
card_100_267_00_48
SET_CARD_TEXT,1,1,
いつもは余計なことを言わないように気をつけているのに、つい気を抜いてしまったのだ。
card_100_267_00_49
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_50
SET_CARD_TEXT,1,1,
(団子は……せっかくだし、八意様たちへの
card_100_267_00_51
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_52
SET_CARD_TEXT,1,1,
お土産に持っていきましょう。
card_100_267_00_53
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_54
SET_CARD_TEXT,1,1,
喜んでもらえると、いいのだけれど……あと、
card_100_267_00_55
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_56
SET_CARD_TEXT,1,1,
余計なことは言わないように、気をつけないと)
card_100_267_00_57
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_58
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_267_00_59
SET_CARD_TEXT,1,1,
敬愛する永琳相手に、迷惑をかけるわけにはいかない。
card_100_267_00_60
SET_CARD_TEXT,1,1,
団子を袋に包みながら、サグメは物を言わずに、そう決意した。
card_100_267_00_61
WAIT_TOUCH,
SKIP_POS,
FADE_OUT,500,
STOP_BGM,
WAIT_SEC,2000,
END,