// BOM card_100_284_00,2,60 START, SET_CARD_BG_IN,100284, SET_BGM,7, MAIN_UI_OFF,1, FADE_IN,500,0, WAIT_SEC,1000, SET_CARD_TEXT,1,1, 幻想郷で有名な勝負方法といえば、まず最初に弾幕ごっこが挙げられるだろう。 card_100_284_00_1 SET_CARD_TEXT,1,1, 弾幕の美しさを披露しつつ、どれだけ回避し続けられるかを競う幻想郷独特の決闘である。 card_100_284_00_2 SET_CARD_TEXT,1,1, しかし、幻想郷に住む者たち、そのすべてが弾幕ごっこに興じるわけではない。 card_100_284_00_3 SET_CARD_TEXT,1,1, 魔法の森でひっそりと道具屋を営む彼――森近霖之助もまた、そのひとりである。 card_100_284_00_4 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_00_5 SET_CARD_TEXT,1,1, 「はぁ……今日も彼女たちに card_100_284_00_6 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_00_7 SET_CARD_TEXT,1,1, 売り物を安値で持っていかれてしまった」 card_100_284_00_8 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_00_9 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_00_10 SET_CARD_TEXT,1,1, 冥界の道具に妖怪の道具、魔法の道具に外の世界の道具まで。 card_100_284_00_11 SET_CARD_TEXT,1,1, 人間にも妖怪にも拒まれず、販売だけでなく買取まで行っている香霖堂。 card_100_284_00_12 SET_CARD_TEXT,1,1, 数多あまたの道具に囲まれながら、霖之助は本日何度目かも分からないため息をこぼした。 card_100_284_00_13 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_00_14 SET_CARD_TEXT,1,1, 「気になる商品があれば、あれやこれやと card_100_284_00_15 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_00_16 SET_CARD_TEXT,1,1, 理由をつけてタダ同然の金額を付けられる。 card_100_284_00_17 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_00_18 SET_CARD_TEXT,1,1, 紅魔館のメイドみたいな上客もいるにはいるが、 card_100_284_00_19 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_00_20 SET_CARD_TEXT,1,1, 常連のほとんどは問題児ばかりだ」 card_100_284_00_21 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_00_22 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_00_23 SET_CARD_TEXT,1,1, 実のところ、彼は弾幕が一切撃てないわけではない。 card_100_284_00_24 SET_CARD_TEXT,1,1, 妖怪が跋扈する幻想郷で生きるのだから、それ相応の防衛手段くらいは持っている。 card_100_284_00_25 SET_CARD_TEXT,1,1, その上で彼には「弾幕ごっこに介入しない」というポリシーがある。 card_100_284_00_26 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_00_27 SET_CARD_TEXT,1,1, 「大人の僕が彼女たちと対等に card_100_284_00_28 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_00_29 SET_CARD_TEXT,1,1, 弾幕を放ってしまったら…… card_100_284_00_30 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_00_31 SET_CARD_TEXT,1,1, ごっこ遊びじゃなくなるからね」 card_100_284_00_32 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_00_33 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_00_34 SET_CARD_TEXT,1,1, 大層な考えではあるが、荒らされに荒らされきった店内の様子を見ると、 card_100_284_00_35 SET_CARD_TEXT,1,1, それがどこまで本心なのかは少々疑わしい。果たして彼自身にどれ程の力があるのか……。 card_100_284_00_36 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_00_37 SET_CARD_TEXT,1,1, 少なくとも、彼女たちと同じ程度の弾幕を扱うことができれば……、 card_100_284_00_38 SET_CARD_TEXT,1,1, 商品を持っていかれる現状を変えることぐらいはできるだろう。 card_100_284_00_39 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_00_40 SET_CARD_TEXT,1,1, さっきまでいた昔馴染みの魔法使いが散らかした店内を片付けるべく、 card_100_284_00_41 SET_CARD_TEXT,1,1, 霖之助はひとまず立ち上がった。 card_100_284_00_42 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_00_43 SET_CARD_TEXT,1,1, 「む? あれは――」 card_100_284_00_44 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_00_45 SET_CARD_TEXT,1,1, 窓の向こうで何かが動いた気がした。思わず向けた目線の先に浮かぶのは、シャボン玉のような物体。 card_100_284_00_46 SET_CARD_TEXT,1,1, そちらへ吸い込まれるように霖之助の手が伸びる。 card_100_284_00_47 SET_CARD_TEXT,1,1, それが、今後の彼の人生を大きく変えるきっかけになるとも知らずに―― card_100_284_00_48 WAIT_TOUCH, SKIP_POS, FADE_OUT,500, STOP_BGM, WAIT_SEC,2000, END,