// BOM card_100_284_01,2,113 START, SET_CARD_BG_IN,100284, SET_BGM,7, MAIN_UI_OFF,1, FADE_IN,500,0, WAIT_SEC,1000, SET_CARD_TEXT,1,1, 店の壁に空いた巨大な穴。 card_100_284_01_1 SET_CARD_TEXT,1,1, 自らの手で作り出した破壊の跡を前に、霖之助は悪辣あくらつな笑みを浮かべる。 card_100_284_01_2 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_01_3 SET_CARD_TEXT,1,1, 「……本気を出せば、こんなものかな。 card_100_284_01_4 SET_CARD_TEXT,1,1, 僕はこれから、 card_100_284_01_5 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_6 SET_CARD_TEXT,1,1, 新たなるステージに足を踏み入れる」 card_100_284_01_7 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_01_8 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_9 SET_CARD_TEXT,1,1, 香霖堂の売り物のひとつである大きなソファに座りながら、霖之助は得意げに口元を歪める。 card_100_284_01_10 SET_CARD_TEXT,1,1, 巷で噂になっていた「ユメミタマ」というやつが、自分にもやってきたらしい。 card_100_284_01_11 SET_CARD_TEXT,1,1, 触れたものに力を与える不思議なシャボン玉。そして与えられたものは―― card_100_284_01_12 SET_CARD_TEXT,1,1, 目の前の壁の穴を見れば、一目瞭然だろう。 card_100_284_01_13 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_14 SET_CARD_TEXT,1,1, 「どうして幻想郷では card_100_284_01_15 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_16 SET_CARD_TEXT,1,1, 彼女たちの存在が大きいのだろうか。 card_100_284_01_17 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_18 SET_CARD_TEXT,1,1, どうして彼女たち以外の存在は、 card_100_284_01_19 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_20 SET_CARD_TEXT,1,1, 力なき者として過ごさなければ card_100_284_01_21 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_22 SET_CARD_TEXT,1,1, ならないのだろうのか!」 card_100_284_01_23 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_01_24 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_25 SET_CARD_TEXT,1,1, 霖之助は無力な存在だった――そう、ほんの数刻前までは。 card_100_284_01_26 SET_CARD_TEXT,1,1, 彼は手にしてしまった。強大な力を。 card_100_284_01_27 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_28 SET_CARD_TEXT,1,1, 「きっかけというのは、 card_100_284_01_29 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_30 SET_CARD_TEXT,1,1, なんの前触れもなく訪れるものだ。 card_100_284_01_31 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_32 SET_CARD_TEXT,1,1, これで僕もヒロインに…… card_100_284_01_33 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_34 SET_CARD_TEXT,1,1, いや、ヒーローになれるわけさ!」 card_100_284_01_35 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_36 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_01_37 SET_CARD_TEXT,1,1, 運命の螺旋らせんの行方は誰にも分からない。かの吸血鬼ですらも、完璧に把握することは不可能だろう。 card_100_284_01_38 SET_CARD_TEXT,1,1, だからこそ、人はそれを奇跡と呼ぶ。 card_100_284_01_39 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_40 SET_CARD_TEXT,1,1, そして奇跡は、人を立ち上がらせるには十分すぎるほどに光り輝いている。 card_100_284_01_41 SET_CARD_TEXT,1,1, 主役の方々にはそろそろ舞台を降りてもらおう。ここからは、脇役が脚光を浴びる時間だ。 card_100_284_01_42 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_01_43 SET_CARD_TEXT,1,1, 「誰も予想できない大仕掛けを見せてやろう。 card_100_284_01_44 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_45 SET_CARD_TEXT,1,1, この力さえあれば、それが可能だ。 card_100_284_01_46 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_47 SET_CARD_TEXT,1,1, 僕が幻想郷の猛者たちに恐れられるような――」 card_100_284_01_48 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_01_49 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_50 SET_CARD_TEXT,1,1, 新たな思惑を胸に秘め、彼はひとり高らかに笑った。 card_100_284_01_51 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_01_52 SET_CARD_TEXT,1,1, 「ふふふ、はははははは!!」 card_100_284_01_53 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_54 SET_CARD_TEXT,1,1, ははは――――。自分の笑い声で目が覚めた。 card_100_284_01_55 SET_CARD_TEXT,1,1, 目の前の壁には穴は空いていない。先程まで感じていた力の湧き上がる感覚もない。 card_100_284_01_56 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_01_57 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_58 SET_CARD_TEXT,1,1, 「自分の笑い声で起きるって、相当だな」 card_100_284_01_59 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_60 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_01_61 SET_CARD_TEXT,1,1, 傍から、けらけらと聞き馴染んだ笑い声がする。 card_100_284_01_62 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_01_63 SET_CARD_TEXT,1,1, 「……魔理沙。君はいつからそこに居る?」 card_100_284_01_64 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_01_65 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_66 SET_CARD_TEXT,1,1, 「香霖が不用意にユメミタマに触って card_100_284_01_67 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_68 SET_CARD_TEXT,1,1, とり憑かれたとこから、だな。楽しかったか?」 card_100_284_01_69 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_70 SET_CARD_TEXT,1,1, ユメミタマにとり憑かれると、その人は「誰かがその人に対して望んだ姿」になるらしい。 card_100_284_01_71 SET_CARD_TEXT,1,1, スペルカードを使い、空中で弾幕戦を披露する――そういう姿の僕を、誰かが望んだのだろうか。 card_100_284_01_72 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_01_73 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_74 SET_CARD_TEXT,1,1, 「いやいや、それは香霖自身の願いだろ」 card_100_284_01_75 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_01_76 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_77 SET_CARD_TEXT,1,1, 「そんなわけあるか、僕はいまの card_100_284_01_78 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_79 SET_CARD_TEXT,1,1, 平穏な生活に十分満足してるんだ。 card_100_284_01_80 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_81 SET_CARD_TEXT,1,1, 弾幕ごっこに憧れはないよ」 card_100_284_01_82 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_01_83 SET_CARD_TEXT,1,1, 僕に憑いたユメミタマを、ダンマクカグラで浄化したのは魔理沙らしい。 card_100_284_01_84 SET_CARD_TEXT,1,1, 浄化後もなぜか僕が眠りこけ、妄想の世界から出てこないので、ニヤニヤしながら見ていたそうだ。 card_100_284_01_85 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_86 SET_CARD_TEXT,1,1, 僕に弾幕ごっこへの憧れはない。 card_100_284_01_87 SET_CARD_TEXT,1,1, 人外の「ごっこ遊び」に真正面から関わったところで、楽しみを感じないだろう。 card_100_284_01_88 SET_CARD_TEXT,1,1, 少女たちが繰り広げる幻想的で破壊的な世界に、僕が介入する余地はない。 card_100_284_01_89 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_01_90 SET_CARD_TEXT,1,1, ただ、もし誰かが、森近霖之助にそうあって欲しいと願っているなら。 card_100_284_01_91 SET_CARD_TEXT,1,1, この人妖が自由に空を飛び、様々な道具を使い、弾幕を巧みに操る姿を思い描く誰かがいるのなら、 card_100_284_01_92 SET_CARD_TEXT,1,1, その過ぎた妄想に少し付き合うのも、悪くはないかな、とは思う。 card_100_284_01_93 SET_CARD_TEXT,1,1, あるいは、僕が「そうしている」世界がどこかにあったとしても――― card_100_284_01_94 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_01_95 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_96 SET_CARD_TEXT,1,1, 「ほら、やっぱり弾幕ごっこしたいんだろ?」 card_100_284_01_97 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_284_01_98 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_284_01_99 SET_CARD_TEXT,1,1, その前に、この横にいる魔法使いには、 card_100_284_01_100 SET_CARD_TEXT,1,1, 人は魔法を使わずとも他人を黙らせることはできる、ということを教えなければならないのだろうか。 card_100_284_01_101 WAIT_TOUCH, SKIP_POS, FADE_OUT,500, STOP_BGM, WAIT_SEC,2000, END,