// BOM card_100_286_00,2,43 START, SET_CARD_BG_IN,100286, SET_BGM,7, MAIN_UI_OFF,1, FADE_IN,500,0, WAIT_SEC,1000, SET_CARD_TEXT,1,1, 霊烏路空は元から特別というわけではなく、かつては普通の地獄鴉でしかなかった。 card_100_286_00_1 SET_CARD_TEXT,1,1, 古明地さとりが管理することになった旧地獄、彼女の担当は、そこにある灼熱地獄跡だった。 card_100_286_00_2 SET_CARD_TEXT,1,1, 灼熱地獄の火力が強まれば地霊殿の天窓を開け、弱まれば死体を投げ込んでかっかと燃やす。 card_100_286_00_3 SET_CARD_TEXT,1,1, それが、地獄鴉である彼女に与えられた、唯一の役目だった。 card_100_286_00_4 SET_CARD_TEXT,1,1, 毎日同じ仕事の繰り返し。退屈ではあったものの、しかし、それなりに平和で満足な生活だった。 card_100_286_00_5 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_286_00_6 SET_CARD_TEXT,1,1, 「さとり様の役に立てるし、 card_100_286_00_7 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_286_00_8 SET_CARD_TEXT,1,1, お燐と一緒に毎日働けるし、ご飯ももらえる。 card_100_286_00_9 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_286_00_10 SET_CARD_TEXT,1,1, なーんにも足りないものなんかない。 card_100_286_00_11 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_286_00_12 SET_CARD_TEXT,1,1, あーあ、こんな生活がずっと続けばいいのになあ」 card_100_286_00_13 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_286_00_14 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_286_00_15 SET_CARD_TEXT,1,1, 尊敬すべき主がいる、心を許せる親友がいる。 card_100_286_00_16 SET_CARD_TEXT,1,1, 自分を信頼して任された仕事がある、慣れ親しんだ旧地獄という住処すみかがある。 card_100_286_00_17 SET_CARD_TEXT,1,1, 空の生活は充足していた。――少なくとも、自分が特別な存在になるまでは。 card_100_286_00_18 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_286_00_19 SET_CARD_TEXT,1,1, 「うにゅ? あの人、誰だろう? card_100_286_00_20 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_286_00_21 SET_CARD_TEXT,1,1, あんな人、旧地獄にいたかなあ」 card_100_286_00_22 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_286_00_23 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_286_00_24 SET_CARD_TEXT,1,1, それは、空がいつも通りに仕事に励んでいた、特別でもなんでもない日。 card_100_286_00_25 SET_CARD_TEXT,1,1, 山の神を名乗る巨大な注連縄しめなわを背にまとった女性が、突然、地底の外からやってきた。 card_100_286_00_26 SET_CARD_TEXT,1,1, 彼女は空を見つけるや否や、聖母のような慈愛の笑みとともに、とある提案をするのだった。 card_100_286_00_27 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_286_00_28 SET_CARD_TEXT,1,1, 「え? 八咫烏やたがらすの力……? card_100_286_00_29 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_286_00_30 SET_CARD_TEXT,1,1, 私に、それをくれるの……?」 card_100_286_00_31 WAIT_TOUCH, SKIP_POS, FADE_OUT,500, STOP_BGM, WAIT_SEC,2000, END,