ある日、地底にやってきた神によって、彼女は最強の力を与えられた。
「すごい、身体の奥から
熱い何かが込み上げてくるよ!」
旧地獄にある灼熱地獄跡。そこの温度調節の仕事を任されていた霊烏路空。
しかし、八咫烏としての力を与えられたことによって、
彼女は数段上のステージに足を踏み入れることとなった。
「この力で地上を壊すことができれば……
幻想郷のどこにでも灼熱地獄を作れるかも!
ふふふ。さとり様にも褒めてもらえるかもしれない
……ひさしぶりに、がんばっちゃおうかな!
主に褒めてもらいたい。親友に喜んでもらいたい。
そんな、純粋な善意によって、彼女は幻想郷を恐怖に陥れることにした。
強大な力は、ただそれだけでも脅威となり得る。
しかし、頭のあまり強くない、それこそ空うつほのような存在に持たせた場合、
まともに悪用すらできなくなる。
核兵器にも匹敵する、夢のようなエネルギーであるはずなのに。
活用は世のために、悪用は私欲のために。
無計画な彼女の目論見は、誰にとっても破滅しかもたらさない、ただただ無益な行いだった。
「旧地獄拡大のために、がんばっちゃうぞー!」
そんなことなど考えもせずに、空うつほは侵略を開始する。
当然、成功するわけもないのだが、純粋な彼女がそんな未来に気づけるはずがない。