端午の節句。 それは、子どもの健康と成長を願い、そしてお祝いする日である。 当然、人間が考えた行事なので、妖怪たちにはなんの関係もない。 わざわざ祝うようなものではないのだが、お祝い事があるのなら、それにあやかり、宴会を行う。 妖精に妖怪、そして神々。人ならざる者たちは、ひとつの例外もなく、どんちゃん騒ぎが大好物だ。 そんな人ならざる者のうちのひとり、 リグル・ナイトバグは、せっせと宴会の準備に励んでいた。
「もう、チルノったらまた準備をサボって
……まあ、しょうがない。
宴会の開始を遅らせるわけにもいかないし、
私が進めておくしかないわね」  
愚痴をこぼしながら準備に励む彼女は、 端午の節句の由来となった、とある国の衣装を身にまとっている。 だが、彼女はその服装が持つ意味を知らない。 ただ可愛いからと、ただこの行事に合っているからと、そんな単純な理由で身にまとっている。 普段とは異なる風貌の彼女だが、可愛らしくも神秘的な衣装を身にまとい、 いったい何を思うのだろうか。
「さあさあ、宴会の準備を進めましょう! せっかくの無礼講だもの。
人も妖怪も関係ないわ!」  
もしくは、宴会をやりたい一心で、何も考えていないのかもしれない――。