二人の少女は、まるで曲に合わせて舞う踊り子のように、少しのよどみもなく優雅に動き回る。
「誰かを応援するために踊るのも楽しいけど、
自分のためだけに踊るのは、もっと楽しいわ!」
「いい気分転換になるね、これは。
心が充足していくのを感じるよ」
舞は里乃の、里乃は舞の。それぞれの手を取り、それはもう楽しそうに夜の竹林で舞い続ける。
夜風によって竹が揺らされ、周囲には竹の葉が降り注ぐ。
踊りの反動で舞い上がったチリが月光に照らされ、二人の周りできらきらと輝きを放つ。
そこは、まさにダンスホール。自然が作り出した、二人のためだけの舞踏会。
「少し、テンポを上げましょう。
ふふっ、私についてこられるかしら?」
「当然、ついていくとも。里乃の踊りに
ついていけるのは、僕以外にはいないもの」
二人の踊りは、徐々に勢いを増していく。
見栄えなんて気にしない。ただ、踊りたいように、心の赴くままに舞うだけだ。
「今度、隠岐奈様にも
私たちの踊りを見てもらいましょう。
きっと、喜んでくれるに違いないわ」
「それはいい考えだね。僕たちの僕たちによる
僕たちのためだけの踊りを、見せてあげよう」
二人きりのペアダンスは、勢いが衰えることもなく、ただただ激しく続けられる。
そんな二人を、夜空に浮かぶ月だけが、静かに見守っていた。