命は神により生み出される。 それは、時代も世界も、人も妖怪も問うことはない。 救いを求めた人間霊たちの祈りによってこの世界に顕現した神、埴安神袿姫は、 『偶像を作り出す程度の能力』を駆使し、最強の部隊を作り出した。 部隊に与えられた役割は、動物霊たちの支配から、人間霊たちを解放すること。 願いが通じた人間霊たちは大いに喜び、袿姫への忠誠を誓った。 ――自分たちが真の意味で解放されたわけではない、と気づくこともなく。
「私が彼らに与えたのは、
あくまでも仮初めの救いでしかないわ。
……彼らは、いつ気づくのかしらね。 結局、支配者が変わっただけで、自分たちの境遇は
何も変わっていないということに」   「気づかないほうが幸せなのでは? 面倒な反乱を 起こされるのも、好ましくありませんし」
「それもそうね。無知は罪だとよく言うけれど、
無知だからこその幸せもあるというもの。
私たちのほうからその幸せをわざわざ
崩すような真似をする必要なんて、どこにもない」
「……では、人間霊たちのことは いったん保留ということで。 例の計画については、当初の予定通りに進行する、 という認識で問題ありませんか?」  
「ええ、予定通りに進めましょう。 終わることのない最強の部隊
――埴輪兵団の創造計画を」