畜生界で動物霊からひどい扱いを受けていた最下層奴隷階級、人間霊。 彼らの起死回生をかけた祈りによって召喚されたのが、彼女、埴安神袿姫である。 彼女は持ち前の造形術でたちまち人間霊たちを動物霊の支配から解き放った。 しかし、それはあくまでも表向きの話である。 実際には支配する者が変わっただけだという事実に、人間霊たちは気づかない。 当然、袿姫もわざわざ彼らに真実を教えることはしない。 袿姫にとって大切なのは、あくまでも人間たちのアップデート。 すべての人間をハニワに変えることこそ、彼女がもっとも重要視する計画なのだ。   「怪我に病気に、
人間の肉体はなんて不便なのかしら」
造形神である彼女にとって、脆もろい肉体などただの枷かせでしかない。 そんな肉の塊にすがるぐらいなら、 どれだけ壊れてもやり直しがきくハニワに魂ごと移し替えたほうが効率がいい ――本気でそう考えている。   「私に忠誠を誓うのならば、
究極の器を与えましょう。
肉のお前を滅めっして、
土と水で美しく作り直してやるの」
彼女の言葉はあくまでも善意からくるものだ。 しかし、神の善意が人間にとっての救いとならない場合もある。 もちろん、袿姫がそんなすれ違いに気づくことなど、ありはしないのだが。   「そうすれば、一点の瑕きずもなき偶像として、
あなたは未来永劫語り継がれるかもしれないわ!」