「くっ……なんて強敵!
このままでは、我が軍は敗北してしまう……!」
ビーストメトロポリスを訪れた半人半霊、魂魄妖夢。
オオカミ霊の憑りついた彼女を相手に、杖刀偶磨弓率いるハニワ軍団は窮地に陥っていた。
「あなた方に恨みはありませんが、
ここで打倒させていただきます」
あくまでも冷静に、そして冷徹に。妖夢は刀を構え、磨弓との距離を詰めていく。
幽霊ではない生身の肉体を持つ妖夢が獰猛どうもうなオオカミ霊によって操られ、
襲いかかってくるこの状況は、埴輪軍団にとってかつてないピンチと言えた。
「え、ええい、ひるむなひるむな!
敵はひとりだ、数で押せば勝てる!」
磨弓の命令に従い、埴輪たちが弓を放つ――が、妖夢はあっさりとかわしてしまう。
一体、また一体と、妖夢に切り裂かれた埴輪たちが崩れ落ちていく。
ついには磨弓の眼前にまで接敵した妖夢は、素早く背後に回り込み――そして一閃。
「させるか!」
背後に回られても動じることなく、磨弓はその刀を振るい、攻撃を弾き飛ばす。
どんな危機に陥ろうとも、どんなに敗色濃厚であろうとも、
袿姫への忠誠心がある限り、磨弓が屈することはない。
「私が倒れない限り、埴輪軍団は敗北しない!
ここを通りたくば、この私を倒してみせろ!」
互いに繰り出した刃が交錯し、そして――。