美味しい食事。人間にとっても妖怪にとっても、それが楽しいひと時であることには変わらない。
闇の妖怪ルーミアもまた、食事に楽しみを見いだす存在のひとつである。
「今日も美味しそうなご飯が手に入っちゃった。
最近は霊夢たちのせいで狩りもまともに
できなかったから、なんだかひさしぶりかもー」
こっそり作った住みかの一角で、ルーミアはいそいそと食事の準備を進めていく。
フォークにナイフ、おさらにカップ。ひさしぶりのごちそうだから、じゅんびはにゅうねんに。
「ふんふふーん♪ 味付けは
どうしようかな? どうしようかなー?
うーん……やっぱり、そのままが一番かも。
こういうの、素材の味っていうんだっけ?」
食事。すなわちそれは、他者の命を食らい
生命維持に必要な栄養を摂取する、一つの存在が生き抜くために必要な行動。
食べるという行動に、ルーミアは人一倍――いや、妖怪一倍に楽しさを見いだしている。
「そういえば、人間は食べるときに
両手を合わせるんだっけ。
何に祈りをささげてるのかは知らないけど、
せっかくだし私もやってみようかしら」
律儀に両手を合わせ、ルーミアは待ちきれない様子で高らかに言葉を発する。
「美味しい食べ物を食べさせてくれる、
幻想郷に感謝を! いただきまぁす」
その感謝は、何だれに捧げられたのだろうか。