「もぐもぐ、もぐもぐ……うーん、美味しい~♪」   テーブルいっぱいに広げられた、真っ赤なごちそう。 赤くて大きい特別な『ケーキ』に、お皿どころかテーブルにまで滴り落ちる深紅の『ジャム』。 いちごジャムとおぼしきそれをルーミアはスプーンですくい取ると、 『ケーキ』に上から振りかけていく。
「こうしたらもっと美味しくなるかも…… わぁっ、赤くてきれい!
ああ、この匂いが食欲をそそるわー。
でも、慌てたらダメ。せっかくのごちそうだもの。
ちゃんとゆっくり味わわなくっちゃ!」
手づかみでいきそうになる自分を深呼吸で押さえつけ、皿とフォークを改めて手に持つ。 ぷるぷると震える『ケーキ』に、フォークをぶすり。そのまま口元まで運んでいく。   「こぼれないように気をつけながら……
あっ、服についちゃった……ま、いっか!
もう汚れちゃってるし、
好きなように食べちゃおーっと!」  
先ほどまでの落ち着きはどこへやら。 ルーミアは『ジャム』が飛び散ることも構わずに、『ケーキ』を勢いよく食べ進めていく。
「ん~……美味しい~♪
やっぱり『ケーキ』が一番好きだわ!
『ジャム』をいーっぱいに塗りたくった、
まっかっかでどろどろな『ケーキ』が一番よ!」  
今日もまた、真っ赤まっくろな部屋せかいのまんなかで、 彼女は嬉しそうに食事を堪能たんのうする。 口の周りを、そしてブラウスのいたるところを、それはもう紅く、赤く、朱く染めながら……。