// BOM card_100_313_00,2,46 START, SET_CARD_BG_IN,100313,0, SET_BGM,7, MAIN_UI_OFF,1, FADE_IN,500,0, WAIT_SEC,1000, SET_CARD_TEXT,1,1, 日がゆっくりと沈み始めた夕暮れ時。 card_100_313_00_1 SET_CARD_TEXT,1,1, 人里近く――しかし、人気はあまりない川のほとりで、ひとつの人影がゆらゆら揺れていた。 card_100_313_00_2 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_313_00_3 SET_CARD_TEXT,1,1, 「よっ、ほっ、っとっと……うーん、 card_100_313_00_4 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_313_00_5 SET_CARD_TEXT,1,1, やっぱり重くて投げにくいなあ」 card_100_313_00_6 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_313_00_7 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_313_00_8 SET_CARD_TEXT,1,1, その人影はお手玉のように、一心不乱に三つの玉のようなものを放り続けている。 card_100_313_00_9 SET_CARD_TEXT,1,1, ――いいや、玉などではない。それは頭だ。それも、人間の。 card_100_313_00_10 SET_CARD_TEXT,1,1, 誰の頭かなど、あえて質問するまでもないだろう。 card_100_313_00_11 SET_CARD_TEXT,1,1, それを放り続けている少女には、頭と呼ぶべき部位が存在しないのだから。 card_100_313_00_12 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_313_00_13 SET_CARD_TEXT,1,1, 「うーん、暇だ。みんな早く来ないかな card_100_313_00_14 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_313_00_15 SET_CARD_TEXT,1,1, ……って、あっ、やばっ……!」 card_100_313_00_16 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_313_00_17 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_313_00_18 SET_CARD_TEXT,1,1, 独り言に意識が向きすぎたのか、少女は頭のひとつをあらぬ方向へと飛ばしてしまった。 card_100_313_00_19 SET_CARD_TEXT,1,1, 飛んだ頭は川へ向かって弧を描く。 card_100_313_00_20 SET_CARD_TEXT,1,1, 落とすまいと慌てて少女は手を伸ばすが、かえって残りの頭のすべてが手から滑り落ちてしまう。 card_100_313_00_21 SET_CARD_TEXT,1,1,   card_100_313_00_22 SET_CARD_TEXT,1,1, 「あはは……やっちゃった。誰にも見られて card_100_313_00_23 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_313_00_24 SET_CARD_TEXT,1,1, いないとはいえ、ちょっと恥ずかしいわね」 card_100_313_00_25 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_313_00_26 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_313_00_27 SET_CARD_TEXT,1,1, 簡単なお手玉を失敗したことが恥ずかしいのか、川へ落ちそうになっている頭には照れ笑いが浮かぶ。 card_100_313_00_28 SET_CARD_TEXT,1,1, しかし、今まさに着水しようとしている水面には、 card_100_313_00_29 SET_CARD_TEXT,1,1, 照れ笑いとは似ても似つかない、不気味な笑みを浮かべる少女の顔が映し出されていた。 card_100_313_00_30 SET_CARD_TEXT,1,1, 水鏡が映したのは、妖怪としての本性か。 card_100_313_00_31 SET_CARD_TEXT,1,1, はたまた、大禍時おおまがときに潜む何かが、水面の奥にいたのだろうか。 card_100_313_00_32 SET_CARD_TEXT,1,1, 妖しき異変に気づいているのかいないのか、 card_100_313_00_33 SET_CARD_TEXT,1,1, 少女はただ淡々と、黄昏たそがれめがけて頭を放り投げるのだった。 card_100_313_00_34 WAIT_TOUCH, SKIP_POS, FADE_OUT,500, STOP_BGM, WAIT_SEC,2000, END,