かつて、希望が失われた人間の里で行われた、宗教家たちによる人気の奪い合い。 その騒動の中で、希望の面を巡り出会った、ふたりの少女がいた。   「やあやあ見つけたぞ。古明地こいし!」  
「だーれ? あ、あなたは…… いつぞやの百面相!」
「百面相とは言いえて妙。 しかし、我々は面霊気だ!
その空っぽの頭にちゃんと刻み込んでおけ!」   「面霊気でも冷麺でもどっちでもいいけど。 それで、私に何か用?」  
大げさに首をかしげるこいしに、こころは扇子をビシッと突きつける。
「お前が! 希望のお面を!
持っているというのは本当か?」   「希望のお面……あー、変なかおのやつ? 見たことあるよー」  
「やっぱり……希望のお面を賭けて、私と戦え!」
「戦えってことは弾幕勝負? わーい! 誰でもウェルカムだい!」  
「ふっふっふ。 余裕しゃくしゃくなのも今のうちだけ。
私は鍛えてきたぞ。この間のようにはいかない!」   「私には希望があるもん! 負けるもんか!」
「その希望は私が持つに相応しいもの!
あいや、今すぐそれを私に渡すがいい!」   「あなたに希望が必要だとは思えないわ! このお面は、私が持っているから 意味がある気がする!」  
感情は持つが表情のない少女、秦こころ。 表情はあるが感情のない少女、古明地こいし。 対極的なふたりの戦いがいま、幕を開けた。