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感情を取り戻すために日々努力する面霊気と、日々の目的なく生きる刹那主義のサトリ妖怪。
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唐突に始まったふたりの勝負は、退屈な里の人間にとってひとつの娯楽にしか過ぎない。
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だが、大いに結構。娯楽上等。無意識で盛り上がれるからこそ、心躍るというものだ。
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「そもそも、お前に
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希望のお面なんて必要ないだろう!
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どうしておとなしく
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渡してくれないんだ!?」
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「あなたが戦おうって言ったから
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こうなってると思うんだけど……ささいな問題か。
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あれはもう私の宝物だもん。
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そう簡単には渡さないわ」
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「貴様、希望の面を返さないというのか」
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「あれってあなたの持ち物だったの?
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でも、今は私のものだから、関係ないよ。
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だからねー、返すつもりは全然なーい。
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欲しかったら力づくで奪ってみてよー」
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「偏ったお面の持ち主は必ず感情を破綻させる。
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そのままでは、お前の感情も暴走するぞ!」
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「別に構わないもん。感情なんてもとより
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持ち合わせていないもん。だから問題ないなーい」
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「哀れなやつめ! 私のようになりたくなければ、
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今すぐ希望の面を手放すことだ!」
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観客たちは少女たちが交わす言葉の意味を半分ほども理解していない。
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彼らにとって大切なのは、盛り上がれるかどうか。その一点だけである。
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あくまでも暇つぶし。あくまでも催し物。
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空を飛び回り、言葉をぶつけ合う少女たちの一挙手一投足に、人々は心を奪われるのだ。
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