パチュリー・ノーレッジは基本的には日光を好まない。
理由は当然、髪と本が傷むから。だからいつも薄暗い図書館にこもり、ひとりで本を読んでいる。
しかし、いつもいつでもひきこもってばかりというわけじゃあない。
一時いっときの気まぐれか、はたまた、心境の変化か。
日の差し込む窓際。
そこに置かれたソファに腰掛けながら、パチュリーは静かに本を読んでいた。
彼女の周りには、読み終えた本と、これから読む本がきれいに積み上げられている――はずだった。
「あら……?
どうしてこんなに散らかっているの……?」
ページをめくる手を止め、顔を上げた彼女の目に飛び込んできたもの。
それは、乱雑に積み上げられた本の数々。
法則性なんて一切ない、ただ手の届くところに置いただけの山々に、パチュリーはつい首をかしげる。
「……思ったよりも、
夢中になってしまっていたようね」
自分が無意識に積み上げた本を見つめ、パチュリーは困ったような笑顔を浮かべる。
使い魔に片づけを任せようかと思ったが、たまにはこういう乱雑なのも悪くはない、と。
友人にこれを見られたら、からかわれるかもしれないわね、などと考えながら、
パチュリーは再び本に目を落とし、ぺらりとページをめくるのだった。