鬼傑組と勁牙組。
決して相容あいいれぬ、畜生界の二枚看板。
荒くれものどもが集うその組織の組長ふたりは、髑髏どくろの散乱する荒れ地で向かい合っていた。
「野蛮なケダモノ風情が。
この私をわざわざ呼び出すだなんて、
どういう了見なんでしょうかね」
髑髏どくろの山に腰を下ろし、地上を見下ろす吉弔八千慧。
その視線の先には、彼女をにらみつける驪駒早鬼の姿があった。
「ふっふっふ。勝つ自信がないからって
そう言葉をまくし立てるなよ。
お前みたいな卑怯者ひきょうものとは違って、私は
策謀だの策略だのを考えたりはしていないのさ」
「……策謀や策略を考える知恵が
ありませんからね、あなたには」
ふたりの間に友好を深めようという空気は微塵みじんもなく、あるのは刺すような敵意だけ。
「それで? 結局、私を呼び出した
理由はなんなんですか?
わざわざこのような辺鄙へんぴな
土地にまで呼び出したんですから、
それ相応の理由があるのでしょう?」
「そういうせっかちなところが
本当にいけ好かないよ、お前は。
……まあ、いい。これ以上もったいぶっても文句を
言われるだけだし、答えてやろうじゃあないか」
髑髏どくろを足で踏みつけながら、早鬼はニィィと悪辣あくらつな笑みを浮かべた。