「私が博麗神社をお守りするんです!」
胸を張り、堂々としながらそう豪語するのは、狛犬の高麗野あうん。
しかし、数多あまたの異変やさまざまな妖怪たちから、本当に神社を護まもれるのだろうか?
そんなことを思いつつ、ある日あうんが耳にしたのは、動物霊とともにあるという妖怪の派閥の存在。
巨大な組織を率いる軍団の組長に力添えを願えれば、
もしかしたら、「護まもる」ということの知見を得られるかもしれない。
そう考えた彼女は、神社の主である博麗霊夢にお出かけする旨むねを置手紙で伝えると、
単身、畜生界のヘッドに会いにいくことにした。
「あおーん。街全体がキラキラ輝いていて、
すごくきれいですー。
ちょっと、まぶしいぐらいですが!」
『鬼傑組』の組長である吉弔八千慧のもとへ向かう最中さなか、
あうんは賑やかなネオン街についつい見とれてしまう。
電光掲示板によって照らされる街は、夜だというのに昼のように明るい。
一昔前の日本のような幻想郷とは打って変わった光景に、あうんの口から吐息が漏れる。
ひさしく神社から離れたことのなかった彼女だが、初めて歩く畜生界は、少し惹ひかれるものがあった。
「待っていてください、霊夢さん。
私、絶対に強くなって、帰ってきてみせますから」