「あ、丁度いいところに!
ここの神様がどこに行ったのか、知らない?」
ねえねえ、知ってる?
最近、お姉ちゃんのところのペットが、すっごく強くなったんだって。
おくうっていうの。地獄の鴉なんだ。あんなに暑いところに居て、よく平気だよね。
その子がね、食べちゃったの。パクーって。
あんな熱そうなもの、よく食べれるよね。お燐は猫舌だから、多分無理だと思うな。
あれ、でも炎を使ってるから、猫舌じゃないのかな?
何を食べたのって? 神様だよ。あの子は神様を食べた。太陽を食べたの。
「私は古明地こいし。しがない参拝客よ。
地底から出てきたのに、神様が見つからなくて」
なんかね、おくうのところに二人組の神様がやってきて、コレを食べなさいって渡してきたんだって。
八咫烏、だったかな。それを食べたらおくうは、すんごく強くなっちゃったの。
ただの地獄鴉だったのに、太陽の熱を生み出す力を手に入れたんだって。核融合の力。
でも、おくうもお燐もお姉ちゃんも、地上から来た人間にボッコボコにされちゃった。
変な珠を持った、めでたい色で頭が空っぽの巫女、だったっけ。凶暴なんだよ、怖いよね。
あれ、魔法や武器や人形を使うシーフ、だったっけ? どっちだったかなあ。
「地霊殿? お姉ちゃんを知ってるの?
もしかして貴方、おくうを倒した人間!?」
おくうみたいな力を与えた神様に興味があったの、だから地上に出てみたんだ。
人間のいっぱい居る里でしょ、キノコいっぱいの森でしょ、
山の麓にも神社があったから、そこも覗いたよ。 誰かがすやすや寝てた。
地上には、本当にたくさん人間がいて、すごくびっくりした!
だれも私のことに気が付かなかったけどね。
あとはね、天狗がいっぱいいる山を抜けて、お目当ての神社に到着しました!
おくうに力を与えた神様がここにいるって聞いてたから。……なんだけど、誰も居なくて。
どこかなあ、って捜していたら、さっき話した巫女とシーフがやってきたの!
「心の事? 私は閉ざしちゃったわ。
人の心なんて見ても落ち込むだけで
良い事なんて何一つ無いもん。」
お姉ちゃんの能力を知っているみたいだったから、私のことも教えてあげた。
私はもう見るのをやめたんだ、他人の心を。だって、つまんないんだもん。
心の中なんか見ても、落ち込むし、嫌われるし、いいことなんかないから。
わかるとつまらなくなる。わからないことは、わからないままのほうがいい。
でもね、目の前の二人はね、私を見てくれたの。
私に気づいてくれた。
私に話しかけてくれた。
なにか他の子達とは、ちょっと違う気がしたんだ。