照りつける夏の容赦のない日差しの中で、あまりの暑さにぐったりとしていた諏訪子は、 自分と同様にぐったりしているカエルたちの存在に気づいた。   「そうだよねえ……変温動物にこの暑さは、
さすがにこたえるよねえ」  
そこに現れた早苗がスイカを用意していると告げるが、 諏訪子は「あとでね」と気軽に返し、カエルたちとともに川へと向かった。
「暑さ対策といえば水遊びでしょ」   カエルたちを涼しい水辺に放り、水着へと着替えた諏訪子は自分もまた涼むべく、川遊びを開始する。 ――一刻ほど遊んだだろうか。   「諏訪子さまー。スイカ、持ってきましたよー」   汗を拭いつつ川から出た諏訪子を、早苗が呼んだ。 どうやら、諏訪子のためにスイカをここまで持ってきてくれたらしい。 切り分けられた美味しそうなスイカが、岩の上に置かれていた。  
――岩の上でスイカを咀嚼し、しゃくしゃくと小気味のいい音を立てる諏訪子。 そんな諏訪子を眺めながら、早苗は楽しそうに笑う。   「諏訪子様って子供っぽいとこありますよねー、
スイカも食べずに行っちゃうし」
「むー、それは聞き捨てならないねぇ」   不服そうな諏訪子を気にせず、早苗は皿を回収するために岩に近づく、と……。 「私と並んだら間違いなくおこさま……ひゃ!」
言葉の途中で地面がぐらつき、バランスを崩した早苗は、 ばしゃーんという盛大な水音を立てて尻もちをついた。 それが諏訪子の能力による悪戯だと気付き、早苗は呆れかえる。   「ふふ、早苗が私を子供扱い
するなんて千年はやーい!!」
「そういうとこが子供っぽいんですよ! えーい!」
「わぷっ! そういう早苗も子供っぽいじゃん!」   口論をしながら早苗が川の水を諏訪子にかけると、すぐに諏訪子も反撃を開始する。 そうして争う二人の声が笑い声に変わるのに、そう長い時間はかからなかった――