青い空、白い雲、そして――照りつける太陽。 紅魔館こうまかんの主あるじである偉大なる吸血鬼ことレミリア・スカーレットは ビーチチェアに寝転がり、今まさに真夏のバカンスを謳歌おうかしていた。 　 「ふふん。夏を余すことなく満喫できる

ああ、咲夜。ドリンクが切れちゃったから、

万能のメイド長が一瞬で用意したドリンクを受け取ったレミリアは、満足げにストローへ口を伸ばす。 いくらパラソルがあるとはいえ、太陽の下でバカンスを楽しむ姿はあまりにも無謀だ。 ――と、吸血鬼という存在を知る者なら誰もが口を揃えて言うことだろう。 だが、彼女の周りをよーく見てみれば、それが杞憂きゆうであることが分かるはずだ。 天井に描えがかれた空、太陽に見立てられた巨大な火の玉。 そして――いくつもの本棚に囲まれたプール。 そう。彼女がいるのは常夏のビーチなどではない。 偽りにまみれたその場所は、紛まがうことなき紅魔館こうまかんの図書館だったのだ。

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「楽しんだもん勝ちなんだから。偽物だとか

サングラスを光らせながら持論を展開するレミリアに、 お付きのメイドはにこりと微笑むのであった。