「異変を解決するお手伝い、ですか……」   ある日、幽々子から課せられた任務。 妖夢としてはどんな異変が起きようとも関係ないことではあるが、 主に解決してこいと言われてしまった以上、無視するわけにもいかない。   「いい機会です。私の剣がどこまで通じるのか、
試させてもらうとしましょう」
春夏秋冬、明くる日も明くる日もただただ剣を振り続けてきた。 すべては、師の太刀筋たちすじを超えるため。 水面みなものように静かに、そして音よりも早く、敵を両断するために。   「行動を起こすことすら許しません。
抵抗しようとする暇も与えません。
あなたが私に攻撃を加える間もなく、
私の刀はあなたを斬り裂いていることでしょう」
事実、彼女の刀をよけられる者はいなかった。 宣言通り、両の瞼まぶたを閉じる間もなく、相手は斬られて半分となる。 意思を持たない無機物が、ただただ無残に打ち捨てられる。 もしも彼らに意識があったとしても、認識できるのは、自分が斬られたこと、 そして、妖夢が剣を鞘さやに納めていることだけだ。   「切捨御免きりすてごめん
 言葉を風に乗せた時、妖夢は自分の頬が緩んでいたことに気付いた。  思い描いた通りに斬った実感が、頬を緩めていたのだろう。    ……だが、ここで満足をするわけにはいかない。  妖夢の目指す境地には、まだ到底及んでいないのだから。   「斬れぬものなど、あんまりない。 ――しかし、いつかは、
この世のすべてを斬ってみせます」