霍青娥かくせいがはかつて仙人になるための修行を積み、
その果てに邪仙じゃせんへと身を窶やつした元人間である。
複数の仙術を扱い、千年以上ものあいだ、若さを保ち続けている。
そんな彼女はキョンシーである宮古芳香みやこよしかを、さながら娘のようにかわいがっている。
「私が邪仙じゃせん、ですか
もう、やめてくださいまし。
どこからどう見ても
私は、清く正しい仙人でしょうに……」
かつては、仙人になると言って家を出ていった父に再会するために
自身も仙人を目指していた、という健気でかわいらしい一面を持っていた青娥。
しかし、修行を重ねていくうえで、彼女の性格は大きく変化してしまう。
仙人になるために家族を裏切り、人目をはばかる行いすらもいとわない。
そんな本質が災いし、彼女は仙人とは認められず、
邪仙じゃせんの烙印らくいんを押されることとなってしまった。
「なんと呼ばれようと、
たいした問題ではありませんわ。
邪仙じゃせんと呼ばれようとも、
私が頭脳明晰ずのうめいせきで金剛不壊こんごうふえ、
不老長寿の仙人であることに
変わりないのですから」
言葉の通り、彼女は自分の行いを、その在り方を一切反省する気はない。
むしろ、道教を広めるという名目で自らの業わざを他人に見せつけている。
そんな彼女を改心させる術すべなど、この世には存在しないのかもしれない。