「人間たちを狂気に染めることなんて、それこそ
朝飯前だけど……それだけじゃあ面白くない」
クラウンピースは考える。より派手に、より面白く人間たちを狂気に染めあげられる方法を。
「そういえば、人間の里のはずれに、
誰も使っていない見世物小屋があったっけ。
あれをうまく活用できれば、
人間たちを魅了できるんじゃない?」
うーむうーむと頭を悩ませながら、松明たいまつをジャグリングの要領で放り投げるクラウンピース。
その姿は人々を楽しませる道化師のようだった。
「……そうだ。サーカスで芸を披露すれば、心も
視線も全部あたいのものにできるんじゃないか?
せっかくあたいはこんなに派手な
格好をしているんだし、利用しない手はないよ」
そうと決まれば、さっそく準備に取りかからなければならない。
クラウンピースは主あるじであるヘカーティアの協力のもと、
幻想郷初のサーカスを開催する準備を開始した。
芸で使う小物を用意し、見世物小屋のリフォームを行い、宣伝用のビラも作った。
常に娯楽に飢えている幻想郷の住人たちはクラウンピースのサーカスにすぐさま興味を示し、
開演当日には、物珍しさにつられ、多くの観客が集まっていた。
「きゃはは。こんなにうまくいくなんて、
ちょっと予想外。
でも、せっかく集まってくれたんだもの。
極上の狂気をプレゼントしないとね」
そして、狂気のサーカスの幕が上がる。
夜はこれから。朝を迎えるそのときまで、極上のパフォーマンスをご堪能たんのうあれ。