バカは死ななきゃ治らない。
ならば、死ぬことのない妖精は、一生バカが治らないのだろうか?
――いいや、そもそも、治す必要などどこにあるのだろうか。
考えが及ばないことは、たしかにデメリットになり得る。
自分の足をすくわれてしまうことだってあるだろう。
敵に隙を突かれ、絶体絶命の窮地に立たされてしまうことだってあるかもしれない。
しかし、どんなに苦しい状況でも、諦めずに前だけを見つめられる。
「バカ」正直さは、どんなものよりも強大な武器となり得るはずだ。
愚直でもいい、周りが見えていないと罵倒されるのだってもはや褒め言葉だ。
バカをなめていると、きっといつか痛い目を見る。
どんなときでも諦めを知らず、逃げることなんか思い浮かびすらしない。
大切なものを護まもるためなら、どれだけ困難な道でも、強大な相手でも立ち向かう。
――これは、そんなバカな妖精の物語だ。
「やいやい! あんたがどれだけ強いのか
知らないけど、私が相手になってあげるわ!
このサイキョーの妖精である、チルノ様がね!」