霊烏路空れいうじうつほが起きたときには、 古明地こめいじさとりと火焔猫燐かえんびょうりんの姿がどこにもなかった。   「うみゅ……
ふたりとも、どこに行ったんだろう……?」  
最初は戸惑うお空だったが、彼女たちが地霊殿ちれいでんをあけることはそう珍しいことでもない。 なので、動物たちと遊んだり仕事をしながら過ごしていたのだが……。   「むぅ……ふたりとも遅いなぁ……
待ちくたびれちゃったよぅ……」
大事な人たちの姿が見えないと、やはり寂しくなってくるというもの。 いっそのこと自分から探しにいってやろうか、と彼女が重い腰を上げそうになった、まさにそのとき。 想いを馳せていたふたり――と、なぜか古明地こめいじこいしが一緒に地霊殿に帰ってきた。   「おかえりなさーい!」   お空は満面の笑みを浮かべて階段をかけ下り、勢いよく両手を広げてさとりに飛びついた。   「ふた……じゃなくて、
三人とも、どこに行ってたんですか?」
どうやら、ふたりは買い出しのために出ていたらしく、その途中でこいしと合流したとか。 買い出しについてはお空にも伝えていたが、彼女はそのことをすっかり忘れてしまっていたのだ。   「あはは……寂しくなってたのが、
すごくまぬけに思えてきちゃった……」  
自分の物忘れの激しさに苦笑するお空。 そんな彼女は、まだ知らない。 さとりたちがこれから、彼女への日頃の感謝を伝えようとしていること。 そして、お空のために花束と新しいリボンを買ってきてくれていることを――。