人間だろうが妖怪だろうが、そして動物だろうが――眠っているときには夢を見る。
もしかしたら植物だって、生き物と同じように夢を見ているかもしれない。
この世に存在するすべての生き物の夢は、根底部分で繋つながっている。
そんな夢の秩序を守り、監視すること――
それこそが、ドレミー・スイートに与えられたお役目だ。
「夢の可能性は無限大です。
夢の中でなら、人だって妖怪に勝つことができる。
……しかし、それは夢だからこそ
許されるもしもの事象。
そんな逆転現象が現実で起きてしまったら
……想像するまでもないでしょう」
夢の世界はとても扱いが難しい。
上手うまく利用することができれば、どこにでも行けるし何者にだってなることができる。
常識から切り離された、望んだことをなんでも叶かなえられる自由な空間。
それこそが夢だ。だからこそ、夢は管理されていなくてはならない。
「夢とは、夢だからこそ美しい。
現実に持ちこむべきではない。
だから人は起きたら夢を忘れるのです。
その危険性に、心の奥底では気づいているから。
夢は寝ているときにだけ見るもの
――住み分けはきっちりとしなくては」
現実主義の夢の管理者、人知れず働く夢の妖怪。
広大無辺こうだいむへんな夢の領域を管理する彼女がいなければ、
幻想郷も、外の世界も――今よりもさらに混沌に満ちていたことだろう。