子供に与えられるものの代表格として挙げられる、お人形。
しかし、人は成長していくうちに人形への愛情を失くし、そして最後には捨ててしまう。
どれだけ大切に扱っていても、その関係には必ずいつか終わりがくるものだ。
「人間の好き勝手に弄ばれて、
捨てられるのはもうたくさん!
私たち人形だって生きているんだもの。
道具のように扱わないでほしいわ」
かつて人間に大切にされ、そして鈴蘭畑すずらんばたけに捨てられてしまった
元人形のメディスン・メランコリー。
妖怪化してからまだ数年ほどしか経っていないが、彼女の中の憎悪はあまりにも大きかった。
「まずは人形の地位向上。
人形を人間と同価値の存在として扱うこと。
それが無理なら、私は戦うわ。人形解放運動は、
すべての人形を救うための活動なんだから!」
人形だからと侮るなかれ。
彼女は鈴蘭すずらんの毒を有する凶悪な妖怪。
ただの人間では相手にもならず、たちまち毒で蹂躙じゅうりんされてしまうことだろう。
しかし、だからといって人形解放をただ受け入れる必要はない。
彼女は生まれたばかりの妖怪。その知識には大きな不足が生じている。
見聞を広めたいと彼女に思わせることができたら、手を取り合う未来が訪れるかもしれない。