// BOM
card_100_390_00,2,40
START,
SET_CARD_BG_IN,100390,0,
SET_BGM,7,
MAIN_UI_OFF,1,
FADE_IN,500,0,
WAIT_SEC,1000,
SET_CARD_TEXT,1,1,
永遠亭で作った薬を人里に売りにいくのが、
card_100_390_00_1
SET_CARD_TEXT,1,1,
鈴仙・優曇華院・イナバのお仕事だ。
card_100_390_00_2
SET_CARD_TEXT,1,1,
だが、彼女はその人の好さから、仕事とは関係なく人助けをすることもある。
card_100_390_00_3
SET_CARD_TEXT,1,1,
今回はそのひとつ。
card_100_390_00_4
SET_CARD_TEXT,1,1,
病床に伏す老婆のことが気にかかり、その面倒を見てあげていた。
card_100_390_00_5
SET_CARD_TEXT,1,1,
治療用の薬を混ぜた粥を、老婆の口元まで運ぶ鈴仙。
card_100_390_00_6
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_390_00_7
SET_CARD_TEXT,1,1,
身体は衰弱し、目もほとんど見えていない老婆は
card_100_390_00_8
SET_CARD_TEXT,1,1,
粥を呑みこみながら、思い出話をこぼし始めた。
card_100_390_00_9
SET_CARD_TEXT,1,1,
子供のころから月が好きだったこと。
card_100_390_00_10
SET_CARD_TEXT,1,1,
月の兎といつか一緒に餅つきをするのだとはしゃいでいたこと。
card_100_390_00_11
SET_CARD_TEXT,1,1,
目を悪くして、月を見ることがかなわなくなってからも、
card_100_390_00_12
SET_CARD_TEXT,1,1,
近所の友人たちの手を借りて、月見の用意だけはしていたこと……。
card_100_390_00_13
SET_CARD_TEXT,1,1,
――今日が、その月見の当日であること。
card_100_390_00_14
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_390_00_15
SET_CARD_TEXT,1,1,
「……そっか。じゃあ、おばあちゃん。
card_100_390_00_16
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_390_00_17
SET_CARD_TEXT,1,1,
今から私と一緒に、お月見しましょうね」
card_100_390_00_18
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_390_00_19
SET_CARD_TEXT,1,1,
card_100_390_00_20
SET_CARD_TEXT,1,1,
月のことを親しげに語る盲目の老婆に、鈴仙は優しく微笑む。
card_100_390_00_21
SET_CARD_TEXT,1,1,
月の兎と一緒に餅つきをしたい、その願いはすぐにでも叶えられる。
card_100_390_00_22
SET_CARD_TEXT,1,1,
しかし、鈴仙は正体を偽って人里にいる。
card_100_390_00_23
SET_CARD_TEXT,1,1,
今ここで妖怪であることをばらすわけにはいかない。
card_100_390_00_24
SET_CARD_TEXT,1,1,
だからせめて、やれるだけのことを、この患者にしてあげたい。
card_100_390_00_25
SET_CARD_TEXT,1,1,
ゆえに、鈴仙は自分の正体を明かすことなく、
card_100_390_00_26
SET_CARD_TEXT,1,1,
ただのしがない薬売りとして、老婆の月見に付き合うのだった。
card_100_390_00_27
,
WAIT_TOUCH,
SKIP_POS,
FADE_OUT,500,
STOP_BGM,
WAIT_SEC,2000,
END,