発明には実験がつきものである。
なぜなら――実験に成功することで初めて、その発明は成功したと言えるからだ。
それは古今東西変わらない、科学文明における絶対の掟おきてである。
「……よし。周りには誰もいないね?」
ゆえに、発明好きで知られる河童かっぱの河城かわしろにとりは、
今日も今日とて妖怪の山の渓流で、自らの発明のテストを行っていた。
「今回の発明品はちょっと……
ううん、かなーり危険だからね。
誰かを巻きこんだとあっちゃあ、
巫女みこに見つかって
コテンパンにされるかもしれないし。
ここなら誰もいないから、
実験をするには打ってつけだ!」
彼女が作るアイテムで喜ぶ者も多い。
しかしそれ以上に、彼女の発明品によって被害に遭う者も存在する。
今まで何度も見つかって、何度もお仕置きをされてきた。
同じ轍てつを踏まないのは、科学者として当然のことなのだ。
「それじゃあ、そろそろ実験を始めようか!」
にとりは身の丈に合わない巨大なリュックを背負うと、
そのリュックから飛び出したプロペラによって空高く飛びあがる。
そしてしばらくのあいだ空を飛び回った彼女は、適当な岩へ向かって手をかざす。
次の瞬間――
「いけっ、光子トゥーピド!」
リュックの中から無数のミサイルが放たれた――。