// BOM card_100_395_00,2,82 START, SET_CARD_BG_IN,100395, SET_BGM,7, MAIN_UI_OFF,1, FADE_IN,500,0, WAIT_SEC,1000, SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_395_00_1 SET_CARD_TEXT,1,1, 「私と一緒に逃げましょうよ」 card_100_395_00_2 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_395_00_3 SET_CARD_TEXT,1,1, 「嫌だね」 card_100_395_00_4 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_395_00_5 SET_CARD_TEXT,1,1, 正邪の返答に、ぬえは「ああん」と情けない声をあげた。 card_100_395_00_6 SET_CARD_TEXT,1,1, 　 card_100_395_00_7 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_395_00_8 SET_CARD_TEXT,1,1, 二人がいる場所は妖怪の山の中腹。年越しの夜だがお祝いのムードはない。 card_100_395_00_9 SET_CARD_TEXT,1,1, 上空では、年末にも関わらず多数の天狗が飛び回り、 card_100_395_00_10 SET_CARD_TEXT,1,1, 必死の形相で二人の姿を探していた。 card_100_395_00_11 SET_CARD_TEXT,1,1, 　 card_100_395_00_12 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_395_00_13 SET_CARD_TEXT,1,1, しばらく前、山頂にあるという天狗の秘宝の噂を聞いた正邪は、 card_100_395_00_14 SET_CARD_TEXT,1,1, 「中身は知らないが、隠されているなら暴いてやろう」という軽い気持ちで山を登った。 card_100_395_00_15 SET_CARD_TEXT,1,1, しかし、お尋ね者の正邪を待っていたのは、天狗による組織的、戦術的な包囲網だった。 card_100_395_00_16 SET_CARD_TEXT,1,1, 木々の少ない山頂付近で、急に包囲されて逃げ場を失った正邪は窮地に陥ったが……。 card_100_395_00_17 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_395_00_18 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_395_00_19 SET_CARD_TEXT,1,1, 「せっかく私が助けてあげたのにぃ。 card_100_395_00_20 SET_CARD_TEXT,1,1, あんたピンチだったじゃないの」 card_100_395_00_21 SET_CARD_TEXT,1,1, 　 card_100_395_00_22 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_395_00_23 SET_CARD_TEXT,1,1, 窮地に陥っていた正邪を助けたぬえが、ぶつくさと不満の声をあげる。 card_100_395_00_24 SET_CARD_TEXT,1,1, 　 card_100_395_00_25 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_395_00_26 SET_CARD_TEXT,1,1, 「は、頼んだ覚えはねーよ。 card_100_395_00_27 SET_CARD_TEXT,1,1, そんなに役に立ちたいなら card_100_395_00_28 SET_CARD_TEXT,1,1, 勝手に出てって囮になれ」 card_100_395_00_29 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_395_00_30 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_395_00_31 SET_CARD_TEXT,1,1, そう言って背を向けて行ってしまう正邪に、ぬえは拗ねた様子で頬を膨らませた。 card_100_395_00_32 SET_CARD_TEXT,1,1, まだ包囲も抜けてないというのに、ずいぶんな物言いだ。 card_100_395_00_33 SET_CARD_TEXT,1,1, 　 card_100_395_00_34 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_395_00_35 SET_CARD_TEXT,1,1, 「いやよ、目立ちたくないもの。はーあ、 card_100_395_00_36 SET_CARD_TEXT,1,1, これなら命蓮寺で年越しすればよかったわ」 card_100_395_00_37 SET_CARD_TEXT,1,1, 　 card_100_395_00_38 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_395_00_39 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_395_00_40 SET_CARD_TEXT,1,1, ぬえが正邪を助けたのには、理由がある。 card_100_395_00_41 SET_CARD_TEXT,1,1, 世間から爪弾きにされ、さまざまな噂を流される正邪は、 card_100_395_00_42 SET_CARD_TEXT,1,1, 『妖怪でも手に負えない化物』として、人間達に噂が伝わりつつある。 card_100_395_00_43 SET_CARD_TEXT,1,1, 『正体不明』を糧とするぬえにとって、こうした噂の元になる正邪はいたほうが良い。 card_100_395_00_44 SET_CARD_TEXT,1,1, もっとも、助けて邪険にされるとは思わなかったが……。 card_100_395_00_45 SET_CARD_TEXT,1,1, 　 card_100_395_00_46 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_395_00_47 SET_CARD_TEXT,1,1, 「ううん……。でも、 card_100_395_00_48 SET_CARD_TEXT,1,1, 天邪鬼アマノジャクってそういうものか」 card_100_395_00_49 SET_CARD_TEXT,1,1, 　 card_100_395_00_50 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_395_00_51 SET_CARD_TEXT,1,1, 　天邪鬼が素直になったら、それはもう天邪鬼という妖怪ではない。 card_100_395_00_52 SET_CARD_TEXT,1,1, 　妖怪としての矜持を正邪は守り続けているのだろうか。ぬえの口元は綻んだ。 card_100_395_00_53 SET_CARD_TEXT,1,1, 　 card_100_395_00_54 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_395_00_55 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_395_00_56 SET_CARD_TEXT,1,1, 「そういう妖怪らしさって card_100_395_00_57 SET_CARD_TEXT,1,1, 嫌いじゃないのよねぇ、私」 card_100_395_00_58 SET_CARD_TEXT,1,1, 　 card_100_395_00_59 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_395_00_60 SET_CARD_TEXT,1,1, 　妖怪は妖怪らしくあるべきじゃないか。 card_100_395_00_61 SET_CARD_TEXT,1,1, 　ぬえは少し考えながら、槍の穂先をくるくると無意味に回す。 card_100_395_00_62 SET_CARD_TEXT,1,1, 　天邪鬼の矜持を守った上で、正邪に協力をする方法はないだろうか？ card_100_395_00_63 SET_CARD_TEXT,1,1, 　 card_100_395_00_64 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_395_00_65 SET_CARD_TEXT,1,1, 「あ、そっかそっか…… card_100_395_00_66 SET_CARD_TEXT,1,1, ふふふ、いいこと思いついちゃった」 card_100_395_00_67 SET_CARD_TEXT,1,1, 　 card_100_395_00_68 SET_CARD_TEXT,1,1, card_100_395_00_69 SET_CARD_TEXT,1,1, 　ぴたりと槍の穂先を止めたぬえの顔には、悪戯っぽい笑みが浮かんでいた。 card_100_395_00_70 WAIT_TOUCH, SKIP_POS, FADE_OUT,500, STOP_BGM, WAIT_SEC,2000, END,