「なあ、霊夢れいむ。最近神社を留守にしてるが、
どこに行ってるんだ?」
まばゆい日差しが幻想郷に降りそそぐ、とある夏の日。
霧雨魔理沙きりさめまりさは神社の境内で小石を蹴りながら、親友に何気ない問いをぶつけた。
「別に。ただの野暮用よ、野暮用」
「野暮用って……
一度や二度じゃないから聞いているんだぜ?
遊びにくるたびに留守にしてるんだ。
何をしてるのかぐらい知りたくなるもんだろう」
「野暮用、私用、用事。
どの言い方をすれば納得してくれる?」
「……とにかく私に知られたくないってことだけは
よぉーっく分かったぜ」
「あと、今日も神社をあけるから。
あんたはもう帰った帰った」
「えー、またかよ。
少しは私の相手をしてくれよなー」
ブツクサ文句をたれつつも、魔理沙は言われたとおりに帰宅する。
残された霊夢は神社の戸締りをしっかりとし、そして空高く飛翔した。
――彼女がたどり着いたのは、天界ビーチと呼ばれる場所にある入り江だった。
持ってきていたスイカを水に浸し、水着に着替えて準備万端。
「さぁっ、
今日も思いっきり羽を伸ばすわよ~っ!」
幻想郷の平和を守るために常に気を張っている博麗の巫女みこも、
たまの休みは気を抜いて過ごしたいものらしい。