夏。それは、もっとも太陽のまぶしい季節。 幻想郷も例外なく、強烈な日差しが大地を照らす。   「あー……ダメだ。この暑さはもう耐えられん」   あまりの暑さに目が覚めた霧雨魔理沙きりさめまりさは、うらめしそうに空を見上げる。   「この暑さを乗りきるいい方法はないのか……? 霊夢れいむと水浴びしにいくのも悪くはないが、
さすがに飽きるし……うん?」
窓に力なくもたれかかる魔理沙。その視界を何かがよぎり、そしてそのまま家の前に落下した。 なんだなんだと見てみれば、そこには天狗てんぐの新聞があった。   「契約なんてしてないのに
勝手に置いていきやがって……。
まーたどうせ大したことない話を
大事件にしているんだろ……おろ?」  
いつもなら目もくれないデタラメ新聞だが、今回だけは魔理沙の琴線に触れるものが載っていた。
「ふむふむ……湖の上を船につかまりながら
進むウィンドサーフィンか……。
いつもだったら面倒くさいと無視するところ
……だが、しかし!
こんなに楽しそうなもの、
やらないわけにはいかないな!」  
新聞に書かれた開催地を頭に叩たたき込み、魔理沙は家を飛びだした。