――あれから千年以上の月日が流れた。
蓬莱ほうらい人となった少女はひとり静かに竹林で暮らしていた。
静かとは言っても、月のお姫様と顔を合わせれば殺し合いが発生するし、
最近知り合ったワーハクタクの寺子屋仕事を手伝ったりもしている。
それなりに充実し、そして殺伐としている生活を送っていた。
そんな彼女はある日、竹林の中で仇敵の使いの姿ー妖怪はびこる丑三つ時に肝試しを行うーを見た。
「人間なんてめったなことじゃ
立ち寄らない深い深い竹林で、
あの女の関係者が肝試しを行うなんて……
ずいぶんと不用心なんじゃあないか?」
あれから千年以上の月日が流れた。
しかし、少女の復讐心ふくしゅうしんは決して薄れたりなどしていない。
むしろ、反省の色すらない仇敵きゅうてきのせいで、増長してさえいる。
「ちょうどいい機会だ。ここいらで、
私の怒りってやつを再認識してもらおうか」
本人ではないが、関係者なら自分の怒りを受ける義務というものがある。
そもそも、憎きあの女からの差し金ならば、容赦などする必要がどこにあろうか。
「今宵こよいの弾は、
お嬢ちゃんのトラウマになるよ」
これは、完全な八つ当たり。
千年以上かけて積み上げた怒りをぶつける――そんなむなしい戦いだ。