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博麗神社
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博麗 霊夢:
な、なにこれ……?
東風谷 早苗:
神奈子様たちに、分社の様子が変だから見てこい
と言われて来ましたけど、これは……。
博麗 霊夢:
籠いっぱいの果物! 色とりどりの酒瓶!
守矢の分社に、なんでこんな大量のお供え物が?
東風谷 早苗:
うーん……。どなたか、
熱心な信者の方でも、いらしたのでしょうか?
博麗 霊夢:
それはないわ。
昨日は、一人も参拝客が来ていないもの。
博麗 霊夢:
ていうか、この分社を参拝する人なんて
最近じゃ、ほとんどいないしね。
東風谷 早苗:
今は直通ロープウェイがありますからね。
もしかしたら、妖精のイタズラとか……?
博麗 霊夢:
それか、外の世界の博麗神社に、お供え物が
たくさんあるとか? よくわからないけれど。
博麗 霊夢:
でもまあ! あるものは、ありがたく
いただいちゃえばいいわよね!
東風谷 早苗:
そうですね。せっかくのお供え物を
無駄にするわけにはいきません!
博麗 霊夢:
このブドウとか、ツヤツヤで美味しそう。
神奈子たちも呼んで、みんなで食べ……、え?
博麗 霊夢:
な、なに? なんでブドウを持ち上げたら、
籠ごと全部くっついてくるの!?
東風谷 早苗:
こっちの籠も同じです! ……というか、
この感触、この軽さ。これって……!
東風谷 早苗:
食品サンプルじゃないですかー!?
博麗 霊夢:
しょ、食品サンプル……?
東風谷 早苗:
ああぁ、酒瓶も同じです。
あれもそれも、アクリル素材でできた模造品!
東風谷 早苗:
たぶん、外の世界の不要品が幻想郷に流れ込み、
たまたま、この分社の前に現れたんだわ……。
博麗 霊夢:
つまり……これ、食べられないの?
そ、そんなー……。
博麗 霊夢:
……でも、模造品のお供えって楽でいいわね。
見栄えもするし、ずっと腐らないし。
博麗 霊夢:
うん、食べられないのは残念だけど、
しばらく、このまま飾っとくことにするわ!
東風谷 早苗:
え、えーと。神様たちも困惑するので、たまには
ちゃんとお供え物もしてあげてくださいね……。